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モロッコ紀行−1/ストーンズの残り香が漂うエル・ミンザ・ホテル〜タンジェ編#1

EL MINZAH HOTEL

明けましておめでとうございます。
昨年12月にモロッコを回ってきたので、セルクルルージュ的な視点でのモロッコを、何回かに分けて紹介させて頂きます。
初回はスペインから海路でのモロッコの入り口になる港町タンジェで感じた、ローリング・ストーンズの軌跡についてのレポートです。
タンジェはジブラルタル海峡を挟んで、スペインから僅か40キロの港町。フェリーで約20分で到着する程、スペインからは近い。
私は迷宮都市フェズから電車で移動したが、これは6時間くらいかかる。
タンジェはモロッコ内では初めてアメリカの公使館が出来た町で、フランス、スペイン、アメリカ、イタリアの公使館が現在もあるコスモポリタンな地域だ。
戦時中は北アフリカ戦線もあり、各国のスパイが暗躍していた映画の中のような世界。戦後はモロッコ独立もありイスラム色が強まる中、トルーマン・カポーティ、ウイリアム・バロウズ、イヴ・サンローラン、アレン・ギンズバーグ、ジャン・ジュネ、ポール・ボウルズなど異端派の文化人に愛されたモロッコの中でも異色な町である。

タンジェの街並

1967年3月4日、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズと、ブライアン・ジョーンズは、当時ブライアンのパートナーだったアニタ・パレンバーグを連れ、スペインからベントレーをフェリーの乗せて、タンジェに上陸した。ミック・ジャガーは噂になっていたマリアンヌ・フェイスフルと共に、空路でタンジェのエル・ミンザ・ホテルで合流した。
エル・ミンザ・ホテルは、モロッコには珍しい英国調のホテルであり、戦時中には各国のスパイが滞在していたという。

エル・ミンザ・ホテルのロビー

2階にあるラウンジ。

コンシエルジュ・デスク

館内はモロッコ調のモザイクなどイスラム的造形と、英国的なクラシックな佇まいが同居し、他の国のホテルでは味わえない異次元の素晴らしい空間で構成されている。この空気感は、他の場所では味わえない感覚であり、多くの文化人に愛された香りが、足を踏み入れただけで体内にしみ込んでくる。
ストーンズ御一行様だけではなく、チャーチル、トルーマン・カポーティ、バロウズ、サンローランから、セルジオ・メンデスや高田賢三まで、ここに泊まった著名人は数え切れない。地下の素晴らしいパティオに行くと、噴水と共にここを訪れた著名人の写真に迎えられる。

パティオ。
オマーシャリフ。「アラビアのロレンス」撮影時だろうか。
イヴ・サンローラン。タンジェに家を持っていたという。サンローランは晩年の写真もあった。

英国内でドラッグによる警察事件を抱えていたストーンズ御一行は、当時のモロッコでは容易に手に入ったキフと呼ばれるドラッグと、ヨーロッパにはない呪術的な魔力を持つこの町の魅力に取り憑かれ、モロッコで過ごした2週間が、バンドの方向性を大きく変えていくきっかけとなった。
エル・ミンザ・ホテルでは10階を貸し切り、ストーンズならではのパーティが催された。その後モロッコ国内では、タンジェだけではなく、赤い町マラケシュまで足を伸ばしている(マラケシュについては、後日レポートします)。
ブライアン・ジョーンズはこの滞在中に、ブライアン・ガイシンに連れられて近郊のジャジューカ村を訪れ、翌年レコーディングするモロッコの土着的な音楽に、この時初めて出会った。
そのブライアンがジャジューカに行っている間に、ブライアンのパートナーだったアニタ・パレンバーグと、キース・リチャーズは、エルミンザホテルで決定的な関係に陥ってしまう。

エル・ミンザ・ホテルの客室
客室のバルコニー。港全域が見渡せる。
ベランダからの夜景。遠くにスペインの灯りも確認出来る。

その後もストーンズのメンバーは、繰り返しモロッコを取り憑かれたように訪れる事になる。
ブライアン・ジョーンズは、1968年7月エル・ミンザ・ホテルを基点にして、彼の死後にリリースされる「The Pipes Of Pan At Joujouka」を、ジャジューカ村でレコーディングした。
正確な回数は把握出来ていないが、ブライアンは何回もモロッコを訪れながら、心身を崩していき、ストーンズを離脱することになる。
モロッコに足を向けると、いつの間にかジンやジュヌーンといった魔物を体内に宿し持ち帰ってしまう事があるらしい(四方田犬彦氏「モロッコ流謫」)のだが、彼の残したジャジューカを改めて聴くと、ブライアンは明らかに魔物を英国に持ち帰ってしまったように思える。

キースもモロッコに取り憑かれた。同じ年の12月、キースはアニタと共に、大量のレコードに、レコードプレイヤー、多くの衣類にブーツを持って、エル・ミンザ・ホテルに長期滞在し、次なる方向性を産む為に、一人合宿をする。同年に出した「Their Satanic Majesties Request」がそこそこに売れて経済的には効果があったが、ビートルズの二番煎じのように評され、挽回を期していたのだろう。
そこにはマディ・ウォーターズのLIVE盤や、ロバート・ジョンソン全集など、大量のブルースが持ち込まれていた。改めてエル・ミンザ・ホテルで初心に帰り、ブルースを聞き込んだキースは、「Let it Bleed」で、ロバート・ジョンソンの「Love in Vain」を演奏するアイデアを思いつき、サイケデリックな世界から、ブルースへの回帰にシフトチェンジを行ったのだ。

長期滞在中のタンジェで、キースはスーク(モロッコの市場)で、様々なものを買い求めたらしい。それはラグであったり、アクセサリーであったりしたようだが、キースは値切らなかったと言う。モロッコのスークは値段を吹っかけられ、値切るのが当たり前になっているが、半面地元の人たちにとっては、貴重な生活源である。自分もケチな根性からついつい値切ってしまったが、経済的に余裕があったとしても、相手の言い値で買うキースの姿勢には、彼本来の男気のようなものを感じた。

Cafe Baba

ジム・ジャームッシュの映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』に、看板を変えて登場するCafe Babaというカフェがある。ここはお洒落なカフェというタイプの店ではなく、ハードルが高いので、日本人観光客が行くのには相応しくない店だが、ここでキースが撮った有名な写真がある。
店内は撮影禁止になっているが、特別に壁に飾ってあった写真の撮影許可をもらうことが出来た。多分キフを吸っているのだが、モロッコ的なアクセサリーを身につけているのが、わかる筈だ。

店内バルコニーで撮ったキースの写真。1967年12月滞在時と思われる。つけているアクセサリーもモロッコで入手した感じだ。
キースが撮影したバルコニーの外観

この店内での飲み物は、砂糖を入れたミントティーがメインだ。ミントティーの作り方を厨房で見せてもらったが、強力な強火で、ミントティーそのものを煮立てている。お湯を沸かしてミントティーを入れる日本とは作り方からして違うのだ。

もう1件キースや、ブライアン、バロウズが好んでいったという岸壁のカフェ、Cafe Hafaがある。
ここの飲み物は基本ミントティーのみ。夜はハリラスープを出したり、サンドイッチなどの軽食はあるが、当然アルコールはない。しかも海沿いアウトドアという環境で朝から午前2時くらいまで営業しているらしい。
寒かったが、海を眺めながらゆったりと飲むミントティーは格別の味わいだった。この場所でブライアンは何を考えて、海を見ていたのだろうか。
近年はストーンズも度々来日し、夢のような存在ではないが、ブライアン・ジョーンズだけは日本人では全くアクセス出来ないまま消えてしまい、理解もしにくい存在である。その彼が愛した幾つかの場所(多分少し孤独な気分で)を訪問出来たのは、非常に貴重な経験であった。

Cafe Hafa
Cafe Hafaから見る海。
猫はどこにでもいる。

最後にエル・ミンザ・ホテルについて。
写真でおわかりのように、とても素敵なホテルである。部屋も幸いなことに、海側にアップグレードしてくれたので、景色を楽しむことが出来た。
場所もスークに近く、大抵の場所は徒歩圏内である。何よりホテル内が快適だし、宿泊料金も驚く程リーズナブルで、都内のビジネスホテルに泊まるようなプライスで宿泊出来る。
宿泊した日、年老いたドアマンに、チェックアウト時間を訪ねたところ、「今夜はここがあなたの家です。だから明日はお好きなお時間までいてもいいんですよ」
という回答であった。多分ブライアンやキースが滞在した時にもいたのではないかという年齢のドアマンであったが、彼らがリピーターになり、長期滞在した理由が、ここにあるように思えた。

次回はもう少し詳しくタンジェの町全体を紹介する予定である。
是非ご期待下さい。

エレベーターとポスター

SWINGING MIND vol2 2days R&B SESSION/ 2nd day: Shimokita Pub Session

good heavens

7月にHOT BUTTERED CLUBで開催したSWINGING MINDの第2弾は、2days R&B Sessionとして、11月5日(日)及び18日の2日間、会場を変えて開催致します。
第1回は音楽とファッションを楽しんで頂きましたが、第2回は音楽と飲食を楽しんで頂くパッケージで、お届け致します。
2日目の18日は、下北沢にある英国パブGOOD HEAVENSで、Shimokita Pub Sessionとして開催致します。出演は日本を代表するサザンソウルユニットTHE TWO FAVES、同じく日本を代表するハーピストであるナツコ&ジョニー、R&Bシーンを代表するLUI&TAIKIの共演という豪華Live+DJ佐藤志朗(Facing Facts)による選曲で、お届けします。
この日は入場料をフリー、英国ビールやUKフードをご注文頂くだけというシステムにしますので、是非お気軽にお越しください。
モッズ出身のデービスさんがオーナーのGood Heavensでは、珍しい英国ビールや、フィッシュ&チップス、シェファーズパイなどの英国メニューをお楽しみ頂けます。

Door Open 18:00 Charge free+1Drink+Donation(入場料金はフリー。投げ銭制となります)
Live: Two Faves
 Natsuko&Johnny
  Lui&Taiki
DJ’s
佐藤志朗(Facing Facts)
Masao Kawano(Le Cercle Rouge)

★Lui&Taiki

Taiki.N

11/5の並木橋ランチセッションでは、それぞれのバンドSoulcrapと、The Tokyo Localsで共演するLUIとTAIKIが、デュオで登場。4月に開催されたDJ SCRATCHYとの共演ではあっと驚くクラッシュの”BANKROBBER”を披露してくれたこの二人が、何を今回は見せてくれるのか。今から楽しみです。

Taiki.N
Soulcrap やSecret Carnival Workers等で活躍中のソウルフルな歌声もイカすギタリストTaiki.N。
1990年代半ばから日本のオーセンティックスカシーンを牽引し2003年に解散するも、2010年に奇跡の再結成を遂げたバンド「BLUE BEAT PLAYERS」でクールでモダンなギターワークを披露するギタリストであり、自身のバンド「Soulcrap」では、ギターに加えてクールでエモーショナルな唯一無二の歌声を聴かせる稀代のボーカリストである。
1980年代末より「Arch Races/Club Aces」でMODSシーンを席巻し、SKA ・REGGAEシーンはもとよりR&B ・SOULシーンなどからも絶大な支持を得ており、全国各地に数多くのフォロワーを持つ。
https://www.facebook.com/taiki.nakamoto.5?fref=ts

LUI BLUESFACE
あらゆる形のBLUESを変幻自在に飲み込み 東京の街に仁義と粋と自由とBLUESを求め、 魂の叫びを歌に乗せ、世直しゲリラ活動中! 詳しいプロフィールはナイショ! ひ、み、つ、 

Lui

★The Two Faves

The Two Faves 青山ハルヒロ

SWINGIN MIND VOL.1では、FAVE RAVESで参加し、立錐の余地もない中でのヒートアップLIVE。今回はタイトなTHE TWO FAVESで、目一杯熱いサザンソウルを聴かせてくれます。
ニューアルバム ‘ANOTHER NIGHT IN MEMPHIS’ を昨年リリースし 大好評の中、全国各地にてライブも精力的に行い今や全国にその名を響かせているTHE FAVE RAVES。 そのメンバーであり、日本で一番イカしたR&Bシンガーとその声も高い青山ハルヒロ、そして、最高にイカすギター弾きヒトミくんのセッションが、THE TWO FAVESだ。 普段のFAVE RAVESとは一味違い、名コンビならではの息のあった2人だけのステージTHE TWO FAVESをお楽しみに。

Hitomi

★NATSUKO&JOHNNY
SWINGING MIND VOL.1では、初めて見る多くの方を魅了したNATSUKO&JOHNNYのコンビが、GOOD HEAVENSに登場。
Natsuko Tobitaさんのブルージィなハープとボーカルに、うねるジョニーのピアノ。
MARCH OF THE MODS 35th Partyでも、圧倒的な存在感だったこのユニットのLIVE。是非ご期待ください。

“Natsuko”

東京生まれ。
幼少の頃から父の影響でエルビスプレスリーを聴いて育つ。
次第にルーツMusicに魅かれていき、10代の頃Blues音楽にたどり着く。
独学でBlues Harpを始めた後、ハーモニカプレイヤーの田中光栄氏に師事。
同時にジャズヴォーカルも学び、都内ライブハウスを中心に音楽活動開始。
2015年、ドイツの老舗ハーモニカ社HORNERの公式アーティストとなる。

Natsuko

“JOHNNY”香介 (Rock Pianist, Singer/Song Writer)

15歳の頃、アメリカのピアノロッカー・Jerry Lee Lewisに憧れて独学でブギウギピアノを始める。 初めての曲は”Great Balls Of Fire!”。 2006年、ピアノ弾き語りで初ライブ。 その後も定期的にライブを行い、セッションなどにも積極的に参加。 2008年、イギリス出身のブギウギピアニスト・Ben Watersと共演。 同年11月、パーカッショニスト・瀬古裕信との名義で、ミニアルバムShonan’s Wind”Shonan’s Wind”を発表。 現在、ロックピアノをコンセプトに、多方面で活動中。 ライフワークとして完全ピアノ弾き語りによるアットホームなライブも随時行っている。

JOHNNY

★佐藤志朗(Facing Facts)
今年23周年を迎える老舗MODイベント『Facing Facts』のオーガナイザー 1994年、若干17才で『Facing Facts』を立ち上げる。 以後、Mods Brand 『Ultra Master』に勤務するなど、ファッション、音楽、Scooter、リアルなMOD Cultureを世に発信してきた。 彼の持つ得異な性格と風貌でMODシーンの他、CLUBJAZZ、SKA、GARAGE、50sなど様々なシーンでも注目を浴び、日本各地でプレイする彼は、今では日本のMODS、60’Sシーンでは欠かせない男といえるだろう。 独自の感性で選ばれるジャンルレスな選曲で幾多の夜を踊らせてきた彼は、現在もDJ活動の他、イベント企画、Producerとして活躍中。

佐藤志朗

★ Masao Kawano (Le Cercle Rouge)
1980年代前半に、東京モッズシーンやクラブに出入りするようになり、西麻布Tool’s Barで、DJ活動をスタート。
1987年以降西麻布P・PICASSOや、下北沢ZOOで、レジデンツDJとして活動。主にレア・グルーヴ、JAZZ、R&B、スカなどをプレイ。NORMAN COOK(FATOBOY SLIM)、EDDIE PILLER(ACID JAZZ LABEL),PATRICK FORGE(SOUL UNDERGROUND)、GAZ MAYALLなどの英国DJ とも共演。
2000年以降は本業に集中する為、DJ活動を休止していたが、2016年より再開。
THE TOKYO LOCALSとのコラボレーションや、モッズシーンのイベントで、ルーツミュージックを中心にプレイしている。
現在UKファッションのパイオニア的ブランドREADY STEADY GO!のリブートプロジェクトを展開中である。
Swinging Mindは、杉村ルイと共に、イベント全体をプロデュースしている。

Masao Kawano

初日は11月5日(日)11:30~15:30渋谷並木橋WEEKEND GARAGE TOKYOで、Namikibashi Lunch Sessionとして開催します。
2日間のイベントは昼と夜、代官山と下北沢と、全く趣向を変えておりますが、両日とも是非お気軽にお越しください。

original burger