FLYING BODIES / a Hiroyuki Nakano Nonfiction Film

私たちがこのWEB SITE “Le Cercle Rouge”を作った目的の一つは、これまで私たちとつながってきた”赤い輪”の中にいる方々を紹介する事によって、様々なジャンルで新たな価値観を創造し、サイトにいらっしゃった方々と共有する事にあります。
今回ご紹介する中野裕之さんは、私たちの古い友人であり、素晴らしい感性を持った映像作家です。
中野さんの長編映画5作目であり、初のノンフィクションフィルムである新作”Flying Bodies”を、私達も応援したいと考え、このサイトで継続的に情報発信させて頂きます。

作品を簡単にご紹介しましょう。
まずは、作品のトレイラーをご覧下さい。

三宅一生さんが企画・コスチュームデザインを行い、ソチ五輪開会式も演出する世界的な振付家ダニエル・エズラロウさんが演出をし、今年7月18日代々木国立競技場で開催された「青森大学男子新体操部」公演は、大きな感動と、男子新体操の新たな表現の可能性を生み出しました。
この作品は、その最高の舞台に至るまでの3ヶ月間、中野裕之監督が青森大学男子新体操部に密着し、彼らの挑戦の日々を記録したノンフィクションフィルムです。
11月14日に開催された完成披露試写、東京のテアトル新宿、アップリンク、大阪テアトル梅田での公開、立川シネマシティでのイベント上映には、多くのお客様が来場され、選手達の頑張る姿に拍手をして下さいました。

代々木国立競技場での本番撮影時のオープニングは、涙が溢れてしまい、カメラをうまく動かせなかったという中野監督のこの作品にかける熱い想いを、メッセージとして頂きました。
作品を既にご覧になった方、これからご覧になる方、そして今はご覧になる予定のない方も、是非このメッセージを読んで頂ければと思います。
中野監督は、青森大学新体操部の部員達と正面から向き合い、狙って撮るドキュメンタリー作品ではなく、純粋な記録映像として、商業ベースでは考えれない程の時間をこの作品に注ぎ込み、素晴らしいノンフィクションフィルムを作り上げました。

以下中野裕之監督からのメッセージです。

僕は音楽が好きでミュージシャンになろうと
思って青春時代を過ごしました。
そして、自分の才能のなさは自分が一番良く知っている
ということで、映像の世界に方向を変えました。
そこで、僕の生き方を導いてくれた上司に出会いました。
残業はするな、仕事は早く終わらせて、面白いことに時間を
かけろ。おかげで、早く仕事を終わらせて遊びまくったおかげで
いろんな世界の人とも知り合ったり、出会ったりして
今の自分ができたと思っています。

今回、青森に行って、僕がギターに没頭していた青春時代の代わりに
体育館の中で青春を過ごす男子新体操部の学生さんたちに
出会いました。
純粋で、指導の先生や監督の言うことを素直に聞く統制のとれた
体育会系の若者。
そこに、外人ですよ。しかもスパイダーマンを合成じゃなくて
劇場でビュンビュン空中を飛ばす舞台の演出をやったような
外人がきて、無茶なことを言うんです。
それをやったらぶつかるでしょ、ああ、ほらぶつかった。
そして、いつのまにか、それが形になっていくんです。
3ヶ月くらい観察していて、
気づいたことは、ただ、ひたすら、集中してそのことだけを
やることが許される時には、それをまっしぐらに追求して
いくと、大変だし、つらいけど、やっぱり、なにか精神を
成長させるような山を超えることができるということです。

これは、ものを作ったり、なにかの仕事をやれば
体験できることでもありますけど。
青森大学男子新体操部はとにかく特別なんです。

選ばれた能力をさらに磨いてのみ到達することができると
言う意味では、歌を歌える人やギターがうまい人は1億人くらいいた
としても、必ず、人を感動させることができる人は少ないという
事実や、1000人デビューしてCDを出しても
10年後には2人くらいしか残っていないということで、
夢があっても挫折があるという意味では、芸能の世界もスポーツも
はかなくてきびしい世界なんですが、
映画、「ラストサムライ」で、最後にいい台詞があって、
「どうやって死んだじゃなくて、どう生きたか教えてくれ」
ってあって、
まさしく、生きているその瞬間が輝く時のために
苦労があって、怪我して挫折したとしても、
一度でもそのすばらしい輝きに到達した瞬間を体内に
覚えさせたとしたら、その人はその後に運動できなくても
違う人生を歩む時に、乗り越えていく力を持っているし
その子孫にDNAに記録されて伝わっていくんだと思います。

そんな輝く瞬間を撮れたことに感謝しています。

中野裕之 Hiroyuki Nakano

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人はそれと知らずに、必ずめぐり会う。たとえ互いの身に何が起こり、どのような道をたどろうとも、必ず赤い輪の中で結び合うーラーマ・クリシュナー (ジャン・ピエール・メルヴィル監督「仁義」*原題"Le Cercle Rouge"より)