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1959年 東京生まれ。 以来東京に住み続けていますが、2010年1年間は香港に住んでいました。 長い間海外の文化から刺激を受けてきましたが、海外に一度住んだ事で、日本の良さを、改めて見直しています。 英国の音楽とスタイル、フランスの映画と車、暑い国の料理と日本の文学を好んでいます。 1987年以降P Picasso, 下北沢ZOO~SLITS、DJ BAR INKSTICK, Faiなどのクラブで、DJとして活動。 2006年以降DJは休止していたが、2016年より再開。 ファンデーションである英国音楽や、MODSシーンのイベントで、ルーツミュージックを中心にプレイしています。 現在UKファッションの老舗Ready Steady Go!のリブートプロジェクトを展開中。 Music: 60~70's Rock, Rare Groove, Rocksteady, Jazz Funk, Folk. Cinema: Roman Polanski, Jean Pierre Melville, John Cassavetes,Michelangelo Antonioni Style: READY STEADY GO! 6876,Duffer of ST George, YMC, FARAH Food: exotic food.モロッコ、イスラエルなどの料理。

Cinema Discussion-28/ワークショップ発ギョーム・ブラックの挑戦~『7月の物語』

新作映画を複数の視点からとらえ、映画評論の新しい手法を考えようとしてスタートしたセルクルルージュのシネマ・ディスカッション。
第28回は、デビュー作『遭難者』+『女っ気なし』が、このシネマ・ディスカッション第1回だったセルクルルージュ一押しのフランス若手作家ギョーム・ブラックの新作『7月の物語』です。
前作『やさしい人』は長編第1作として、常連俳優ヴァンサン・マケーニュを主軸にした見事な作品でしたが、今回は2本の短篇に分かれており、2016年7月のパリとその郊外を描いたものとして、ひとつの作品を構成しています。
ギョーム・ブラックといえば、俳優との入念な準備をする印象がありますが、今回はフランス国立高等演劇学校の学生たちとのワークショップから作り上げた作品で、役者も全員学生です。
俳優と場所を熟知したうえで撮影に臨むギヨーム・ブラックですが、今回の俳優たちのことは何も知らない為、はじめに俳優たちの家に行き、彼らの夢、政治とのかかわり方、恋愛事情などについて話を聞いて、親密な関係を築きあげていったといいます。
撮影場所は、幼少のころから馴染みのあるセルジー=ポントワーズ(「日曜日の友だち」)と、自宅近くの国際大学都市(「ハンネと革命記念日」)。
撮影期間はそれぞれ5日間、そして3人の技術スタッフと少ない機材で行ったギョーム・ブラックのチャレンジです。

ディスカッションメンバーは、映画評論家の川口敦子をナビゲーターに、川口哲生、名古屋靖、川野正雄の4名です。

「女っ気なし」

★『遭難者』『女っ気なし』そして長編デビュー作『やさしい人』とシネマ・ディスカッションで追いかけてきた監督ギヨーム・ブラックの新作『7月の物語』ですが、これまで主役を務めてきたヴァンサン・マケーニュなしで、演劇学校の学生たちと素早く撮った今回の映画はいかがでしたか?

川口哲生(以下T):
そうですね、明確な主役ヴァンサン・マケーニュがいた映画では、どうしても彼を中心に映画を観、彼の心情に寄り添い、彼の視点で風景を見る、といった流れになりますが、今回の短編2編では、演劇学生たちの役割のイーヴンさ故に、それぞれの登場人物の心情を行きつ戻りつしながら観たように感じます。「思ったようにはいかない人」が次から次に入れ替わるような。笑
アドリブを多用したとのことですが、人間関係の自然さも感じました。

名古屋靖(以下N):
今まで観た作品より若々しさというかフレッシュな印象はありました。 短編なのもありフランス映画だけど忍耐力は必要としない、いかにもありそうな題材を、演劇学校の学生ながらそれぞれキャストの心の揺らぎや喜怒哀楽を細かく引き出しているところはこの監督らしかったです。

川野正雄(以下M):
やはりヴァンサン・マケーニュの存在感は大きかったですね。彼の視点というか、基軸で映画の中に入って行く感がありました。
彼がいない分、また中編的な尺であるという事含めて、全2作よりは薄味な風味に感じました。
自分はあまりエリック・ロメールの作品の造詣は深くはないが、リゾートで起こる1日的な風合いは、フランス映画ぽいなと思いました。
同時にホン・サンスの即興性との共通項も感じたのですが、インタビュー見るとホン・サンスについての話も出ていたので、自分だけではなく良かったです。
男女のちょっとした感情の動きの描き方とか、そういう繊細さみたいな部分と、即興性のような演出が、共通点として感じました。

川口敦子(以下A):
みなさんも仰るように、ヴァンサン・マケーニュがこれまでのブラック映画に占めてきた大きさを、今回その不在によって改めて実感しましたね。ただ、逆によりポジティブな効果になっている面もあるなあとも感じました。あのダメダメ男の悲哀というのかおかしさというのか、それが強烈に前面に出てこない分、より繊細にそれぞれの人物の心情の推移が漂ってくるようで、前篇の水辺の景色、夕暮れに向かう空気や風や温度の推移ともよりしっくりとなじんでいる。
いっぽうで俳優としての強烈な個性はないけれどキャラクターの個性という面ではブラックの映画を構成するだめだめ男、ちょっと控えめな女の子、もう少しぐいぐい自己主張する気のいい女の子と、例えばリュシーとミレナは『女っ気なし』の娘と母の個性とも重なるようだし、学生たちとの即興のワークショップから生まれたとはいっても、やっぱりまとめるブラックならではの映画となっているのは監督としての逞しさみたいなものの証明にもなっているんじゃないかしら。

★第1部2016年7月10日「日曜日の友だち」と第2部2016年7月14日「ハンネと革命記念日」という2つの短編で構成されていますが、この構成に関しては?

M: ワークショップを3チームに分けて、3本撮ったんですよね?3本あった方が、見応えはあったと思いますし、3本並んだら、長編として成立しますね。
実際に学生達と制作するとなると、あまり長いものよりも、中短編の方が濃縮されて、良いのではないでしょうか。
お芝居含めて、1本づつは程よい長さと構成ですね。
ワークショップという性質上、撮影期間も5日間とか短く、役者とのコミュニケーションや台本にも、色々工夫がなされたとインタビューで読みましたが、まとめ方の旨さは、さすがだなと思いました。

T: いかにもフランスのごく日常にありそうな話ですが、パリからRERで40分ぐらいのセルジー=ポントワーズのレジャーセンターとか14区の国際大学都市とか、いわゆる中心としてのパリではない、ブラックのほかの作品にも共通する「周縁的な日常感」を感じさせるロケーションの組み合わせが面白かったです。

N: 学生を使って若者たちの数日間を映画にするには、一つの重くて長い物語より全く違う二つのエピソードを重ねて軽快に見せたほうが、彼らのあやふやというか未熟な魅力は感じられたかと思います。役者に多くを頼らず、粘らず素早く撮れたのも短編だからかと。

A: 『女っ気なし』で取材した時だったと思うのですが、僕の映画は中間に切断面のようなものがあって、楽しく始まった何かがそこを通過すると一転してしまう、楽しいままでは終われなくなる――といったことをブラックが話してくれて確かにどの映画にもそういう明暗の転換点のようなものがあるなと思うのですが、今回もそれぞれの短編にそれがあり、同時に2編を通じて何かより大きな切断面を、前後を通じて見ることで感じさせるようにも思えて興味深かったですね。それが単なる夏のガールハント物語のようにみえた軽やかさの向こうに広がる深みようなものを招き寄せているようにも思いました。で、最後には淡い希望、とまではいかなくてもそれでも続く毎日といった、諦めの明るさみたいなものがやってくるって所もいいですね。
哲生くんがいうようにパリならパリの中心部ではなく周縁的な場所を選ぶというのも面白いですよね。『遭難者』『女っ気なし』のオルト、『やさしい人』のトネールとどこか忘れられたような人と土地が好きみたいな監督の好みというんでしょうか、リュシーとか、後半の消防士とか生き難そうにしている人への共感みたいなものを二つの短編を合わせることでよりくっきり浮かび上がらせてもいる気がしました。

★特定の日付を指定している裏にはこの年、この時期にかけて労働法改正案撤回のデモやパリ、リパブリック広場を起点とした夜通しの演説集会Nuit Debout(立ち上がる夜)の全国的な広がりとフランス国内が騒然としたという背景があり、また15年のパリ同時多発テロの記憶も冷めやらぬ時、16年革命記念日にニースで新たなテロが勃発ということがあるわけですが、一見、シンプルでパーソナルな女の子同士の友情とか男女の恋のさや当て物語ともみえる映画にそうした政治的、あるいは時事的要素を取り込むブラックの姿勢、あるいはその方法についてはどう感じましたか?

T: さっきも触れたけれど、ざわついている中心でない周縁で、そうした政治的熱気やざわつきと時を同じくするごくパーソナルな話が語られるのが面白い。
より『ハンネと革命記念日』の方にそれを感じたけれど。
大好きな映画の『特別な一日』の大きなアパート群の全ての住人がファシスト集会に借り出された後のぽっかり空いた空間と時間の中での特別な情事みたいな。。。
革命記念日のシャンゼリゼのパレードや花火に人が集まる中で、大学のドミトリーの真空地帯みたいな感じがいい。
その日の特別さはそれそれにとってごくパーソナルな悲劇なんだけれど、挿入されるテロのニュースによりその悲劇はとるにたらないことの様に観ている人には思えてくる。
「その日の特別さ」の多層性がフィクションとリアリティが入り混じって意味を持っているように感じました。

M: その部分に関しては、ちょっと強引にも感じました。しかし強引でもテーマの中に、そういう現実の大きな問題を絡ませる事で、作品を撮る意義とか、単なる恋愛すれ違い映画ではなくなる瞬間とか、そのような価値も合わせて生まれてくるのかなと思います。
今回はニースのテロが偶然重なり、そこへの感情的な憤りも含めて、挿入されるエピソードになったのだと思います。
ただ映画の流れ的には唐突感というか、そこまでに出てきた問題~人種とか男女間とか、そういうものとの乖離を、少し感じてしまいました。
ただゴダールのパリ革命ではないですが、監督がそういうテーマに正面から対峙するのも、あえて言うと、ヌーベルヴァーグ的かなと思います。

N: 物語の登場人物たちは今のフランスの深刻な問題に直面している当事者ではないし、出演者は若者ばかりでどこか他人事な雰囲気もあります。2話目など留学生寮のお話ですし別にフランスでなくとも成立するかも。そこに現実の時事的要素を取り入れた演出、例えばニースのテロを持ってくることでこの作品が、若者の戯言なだけでない自分にも身近なフランスの今を感じることは出来ました。でも時事的要素を盛り込むことで問題定義したり何かしらのメッセージが発せられているとは感じらませんでした。監督がそれを求めていたのなら川野さんがおっしゃるように少し強引な印象です。

A: 生半可な知識しかないのでおそるおそるいいますが、やはり今、人種とか移民の問題というのは欧州映画の多くに見られる避けて通れないテーマなのだろうなと。
もちろん後半は留学生寮の話なのでそれがより鮮明に出ているけれど、学生たちとアルメニア系の消防士との関係、かなり正直にそこにある上下関係のようなものを映画はみつめてますよね。その意味では前半のリュシーとミレナはどういう仕事の同僚なのかはっきりと描かれてはいないけれど、理不尽な怒りを抱えてもいそうですよね。出だしのリュシーの激しい不満のぶつけ方とか。で、彼女たちにしても、レジャーセンターで出会う警備員とそのガールフレンドにしても、フランスで生まれてはいるんだろうけれど、多分、ルーツは北アフリカとかのあたりにありそうで。純粋な白人種は森で出会う剣士だけなのかな。
そういう配役からもブラックがプレスのインタビューでいっている「政治的発言に纏わる映画を」との気持がスタート時点でまずあったんだなと感じ取れますよね。そうさせるような切迫感が当時、あったんだなとも感じましたね。最後のテロのニュースをかぶせる部分もだから、下手をすればあざとくなるのだろうけれど、そうはなっていなくてよかったなと。

「やさしい人」

★『女っ気なし』では海辺のさびれたヴァカンスの町オルトの実在の人々が出演していましたね。また『やさしい人』ではフィルムノワール的な話の展開の緻密さのいっぽうで雪や雨という撮影現場で遭遇した現実が映画にマジックをもたらしたと監督は語っていたのですが、今回もドキュメンタリー的なものとフィクションとを並び立たせようとしている、そのあたりに関してはどうご覧になりましたか?

A: ホン・サンスの『自由が丘で』に出演した加瀬亮さんが取材で語ってくれたことなんですが、少し長くなりますがまず引用しますね。
「画面の中で説得力、“自然”(この言葉も本当はきちんと定義しなくちゃいけないんですけど)が成立すればホントになる。でもそれは監督それぞれが作る画の世界の中での”自然”なので。例えばロメールでもホン・サンス監督でもいいんですが、仮にいまここで撮影しているのを見たとしたら、ものすごい熱量で役者が芝居をしていることがわかると思います。”自然”に見えるための”不自然”をしている。ロメールの映画で役者が”自然”に見える、それは何もしないでそのまんまの感じでいるというのとは全然、違いますよね」
で、ドキュメンタリーのように見える自然を作り込む演技、それを最終的に活かしていく監督の演出の力の大きさを加瀬さんは仰っていたのですが、今回のブラックの映画をみると、実際、彼の演出の力を改めて噛みしめたくなりました。

T: 一つには演劇学校の生徒たち、特に実生活での繋がりがある人たちを起用して、アドリブを多用し撮っていますが、川野くんが言っているようにホン・サンスに通じる「撮影現場で遭遇した」感が感じられました。
もう一つはプログラムを読んではじめてわかりましたが、『ハンナと革命記念日』は現実のニーステロが起こった次の日に撮られてており、その現実が演じる人の内面に作用して「悲しい酒」のリアリティを高めており、また元々はなかったテロのニュースの音を編集段階でハンネが泣いている映像にインサートしているんですね。
フィクションとリアリティが複雑に関係しあって、作品に特別な一日が刻印されるような作り方は大変興味深かったです。

M: 確か『女っ気なし』の併映の、検問に引っかかる短編『遭難者』にも、そのようなテイストを感じました。あまり芝居芝居しない演出は、ブラックの特質かと思います。
演出としては、とても洗練されていると思います。
会話の中に芝居っぽさがないんですよね。
多分そこは事前の俳優たちとのコミュニケーションや、年密な準備から入っているのではないかと思います。今回はワークショップという事で時間がなく、監督が役者の家に行くなどして相互理解を深めたといいますが、監督の要求が、役者に対して、どういうものなのか、気になりますね。

★出演者――演劇学生の中で、もし製作者だったらスカウトしたいのはどの人?

A: ちょッと外した所をいいたかったけど、やっぱりリュシーとハンネかな(笑)

T: リシューでしょうか。。。

N:  アルメニア出身の消防士が良かったです。東ヨーロッパの果てに位置するアルメニア出身のティグラン・ハマシアンという孤高のJAZZピアニストがいて個人的にファンなのですが、この消防士の容姿とコンテンポラリーダンスを踊る姿はそのティグランの純粋無垢で神秘的な姿と重なりました。

M: やはりリシューかな。名古屋君のアルメニア人の消防士も良かったです。以前上司が、カナダ生まれのアルメニア人だったのですが、移民というか色々ヒストリーがあるようでした。少ない登場人物の中に、人種の多様性が織り込まれるのは、たまたま学生達が多様な人種だったのかもしれませんが、ギョーム・ブラック的ですね。

「戦士たちの休息」

★併映されるドキュメンタリー『勇者たちの休息』は、どのような印象でしょうか?

M :あんまり適切な表現ではないかもしれませんが、NHK-BSの世界のドキュメンタリーを思い起こしてしまいました。
よく見るのですが、それまで興味や知識の全く無かった色々な知らない世界観を垣間見れて、面白いんですよね。
リタイアした人たちのチャレンジとして、こんなレースがあるんだなと。そして運送業の人が、チャレンジしているのも、面白かったです。
移動が仕事の人は、引退しても移動に魅力を感じるんだなあと思いました。

N: 『7月の物語』との対比が面白かったです。 情緒不安定だけど、やっぱり友情が大切な部分を占める若者達と、子供の頃から変わらぬ一途さで、究極友達は自転車だけでいい老人達。そんな2本のカップリングは見事だと思いました。度々登場する被写体の後方で関係ない行動をしている、おじいちゃんたちの自転車乗り独特の日焼け跡がなんともかわいい。

A: 遅々として進まない自転車を漕ぐ人の姿とアルプスの山道とを背後から辛抱強く、ぐらりとめまいがするような浮遊感に満ちた映像で切り取っていく冒頭から惹き込まれました。そこにもうあまりに豊かに物語が溢れ出ていて、ドキュメンタリーを”演出する”監督の力をもう一度、実感しました。

★ギヨーム・ブラックという監督、そしてその映画のいちばんの面白さはどのあたりにあると思われますか?
A:今回のロメール、前作のトリュフォー、その前のジャック・ロジェと、どうしたってヌーヴェルヴァーグの監督たちと比べたくなる、今回はいっそもう比べなさいと誘惑するように撮ってますよね。一日一本見ないと不安になった、そんな時代もあったとも語ってくれたので、シネフィルに違いないんでしょう。だけど、その“おフランスな映画狂的”価値観を一度覆す、距離といったらいいのか、それを自覚的に保って、ジャド・アパトーとかアメリカ映画の面白い所にも目をやって、で、その上で自分の世界を確かに、かなり頑固に究めようとしているところがいいなあと思うんですね。先ほどもいったと思いますがその自分の世界の軸になるのが生き難さを抱えた人の姿というのでしょうか。周囲も含めて人に対する観察の目。撮り方の部分も含めた押しつけがましさのなさ。それらを守りながら物語する繊細さが好きです。

T: 描かれ「いとおしい不器用さ」ですかね。私は『優しい人』とか『日曜日の友人』のエンディングの、それでも明日に続くといった感じがとても好きです。

M: テレ東の『山田孝之のカンヌ映画祭』に出てきたギョーム・ブラックを見て、思ったよりも若くて、ハンサムで、知的で、全てを満たしたような人だなと思いました。
合わせてその番組にキャスティングされているという事で、やはり注目されている存在なんだなあと、改めて認識しました。
面白さは一言では表現しにくいですが、絶滅貴種になりつつあるヌーヴェルヴァーグ的な監督なんだけど、その風合いは独特なところでしょうか。
面白さは、何気ないシーンに込められた笑いとか、皮肉とか、そういうエッジの効き方ですね。
今回の作品でも、彼のそういった面白さは、随所に感じました。
ただ資料見ると『やさしい人』を撮ったのが、2013年。そこから5年以上長編を彼のような才能ある監督が新作長編を撮れないフランスの状況が、気になります。
今回も依頼があって、好きにワークショップをやっていいというオーダーから生まれた話で、彼の本来の流れから撮った作品ではないですね。
レオス・カラックスですら、なかなか難しい状況だと聞きますが、ギョーム・ブラックは1年に1本くらいコンスタントに作品を作って欲しいと思います。

N: 物語は映画ごとに違いますが、登場人物はみないい人たち。だからと言ってフワフワした作風な訳ではなく、ツッコミどころはたくさんあるけど憎めないというか、気分を害する悪人は出てこないですし。曖昧な言い方ですが、この監督の作品は後味がいいです。 あと監督の色使いが好きです。「日曜日の友だち」の帰りの車窓や「ハンネと革命記念日」の寮から見える少しだけ滲んだ夜景、『勇者たちの休息』でアルプスをヒルクライムする映像など、ため息が出るほど美しい。

『7月の物語』
Contes de juillet 2017年(71分)
2017年 / フランス / フランス語 / カラー / 71分 / 1.33:1 / 5.1ch / DCP / 原題:Contes de juillet / 日本語字幕:高部義之 / 配給:エタンチェ / © bathysphere – CNSAD 2018

『勇者たちの休息』
Le Repos des braves 2016年(38分)
(『7月の物語』と併映)
2016年 / フランス / フランス語 / カラー / 38分 / 1.85:1 / 5.1ch / DCP / 原題:Le Repos des braves / 日本語字幕:高部義之 / 配給:エタンチェ / © bathysphere productions 2016
contes-juillet.com

6月8日より渋谷ユーロスペース他、順次全国公開予定。

The Tokyo Locals 『Shake Your Hips』/ Mods Mayday Japan 2019

SHAKE YOUR HIPS

1980年代の終わりに伝説的なMODSバンドThe HaiRのボーカリストとして現れ、その後実兄ギムラ没後の東京スカパラダイスオーケストラのボーカルを務めたLui Bluesface (A.K.A杉村ルイ)。これまでセルクルルージュでは、何回か紹介をしているアーチストだ。
結成以来10年の時を経て、Lui率いるThe Tokyo Localsが、遂にデビューアルバムを、LuiのレーベルLocal Production Recordsよりリリースする。
オリジナル1曲を含む収録曲には、ブルーズを中心に、ガーシュウィンやキャブ・キャロウェイのクラシックナンバーからジェームス・ブラウンのR&Bナンバーまで、これまでLuiが演奏してきたルーツミュージックが凝縮されている。
レコーディングには、塚本功(ギター/元ピラニアンズ)、清水一平(ギター・/Soulcrap)、HIROKING(ブルースハープ)などのオリジナルメンバーに加えて、昨年Local Production Recordsからデビューアルバム『Blue Stocking』をリリースしたNatsuko (Vocal, Blues harp)と、盲目のブギウギピアニストジョニーが参加している。
レコーディング・ディレクターは、Taiki Nakamoto (Soulcrap)。オープンリールで録音し、60年代の機材を駆使して、細部まで徹底してこだわったヴィンテージな感触のサウンドを作り上げた。
アルバムジャケットの写真は、ジョー・ストラマー(The Clash)公認のフォトグラファー菊地昇。インナーブックレットには、アルゼンチンのアーティスティックな女性フォトグラファー、セレステ・ウレアーガが撮影したLuiの写真。いずれもThe Tokyo Localsに相応しい、Rudyな写真である。
新元号になって1ヶ月後の6月1日にリリースされる『Shak Your Hips』は、30年間日本の稀有なR&Bシンガーとして異才を放ってきたLui Bluesfaceの音楽的集大成であり、強力なメンバーとスタッフによって構築された、新たな時代に挑む全ての魂の挑戦者達に捧げる音楽的ガイダンスである。

photo by
Sho “Cool” Kikuchi

『Shake Your Hips』収録曲。
1. Shake your Hips
アルバムやイベントタイトルにも使っている1966年スリム・ハーポによるブギナンバー。ローリング・ストーンズが『メインストリートのならず者』でもカバーしている。The Tokyo Localsのバージョンは、ストーンズよりもさらに高速なブギにチューンナップされている。
2. Okie Dokie Stomp /Roll ‘em Pete
1954年クラレンス・ゲートマウス・ブラウンによるインストJive「 Okie Dokie Stomp」から、1939年ジョー・ターナーによるJumpナンバー「Roll ‘em Pete」へのメドレー。
3. And I Do Just What I Want
1960年ジェームス・ブラウンのシングル『Bells』B面。Luiが長年歌ってる強力なダンスR&Bチューン。
4. Don’t Start Me Talkin’
1955年ソニー・ボーイ・ウイリアムソンのブルーズナンバー。オリジナルレコーディングには、マディ・ウォーターズや、ウイリー・ディクソンが参加。
5. They Can’t Take That Away For Me
ガーシュウインが、1937年フレッド・アステア主演『Shall We Dance』の為に書き下ろしたボーカルナンバー。アルバムではLuiとNatsukoのツインボーカルが聴ける。
6. My Babe
1955年ウイリー・ディクソンによる、誰もが一度は耳にしたことのあるお馴染みのブルーズナンバー。ライブでのアンコールに使われる事が多いナンバー。
7. Watch Yourself
1970年ブルーズ・ギタリスト、バディ・ガイのファンキーブルーズチューン。
8. Wang Dang Doodle
1961年ハウリン・ウルフ、1966年ココ・テイラーがリリースした酒場のブルーズ的なチューン。デビューアルバム『Blue Stocking』で同曲をカバーしたNatsukoが参加。
9. Minnie The Moocher
1931年リリースされたキャブ・キャロウェイの代表曲。オーケストラ楽曲を、バンドアンサンブルで再現している。
10. Lime House Blues
1920年代に作られたと思われるインストJive チューン。デューク・エリントン、ルイ・アームストロング、ジャンゴ・ラインハルトなど、名だたる巨人が録音しているスタンダードナンバー。
11. One More Love
アルバム唯一のオリジナル曲。
ソングライターとしてのLuiの実力を、聞いて頂きたいグルーヴ感溢れる1曲。

Photo by Celeste Urreaga

以下はLuiからリスナーの皆様へのメッセージである。

混迷を極める時代の変革期の真っ只中に、普遍的大衆性を兼ね備えたブルーズを主軸としたこのファーストアルバム、『Shake Your Hips』を世に送り出す事ができたことを、何よりも嬉しく誇らしく感じる。
卓越したセンスと個性を持つミュージシャン達の出音や演奏へのこだわり、そして協力スタジオ、録音場所提供者、エンジニア達、機材やアイデア提供を施してくれた、多くの優れた表現者達の発想や閃きの数々。
そして何より、最後まで決して諦める事なく不屈の精神で録音、再録、ミックス、マスタリングに莫大な時間を割き、この作品を世に放つ為に力を惜しむ事無く尽力してくれたTaiki Nakamoto (Soulcrap, GREEN UNION RECORDS)に、絶大なる信頼と敬意を払い感謝を述べたいと思う。

思えば様々な形で、ブルーズをはじめとするジャマイカ音楽、数々のレベルミュージック、ストリートミュージックのグルーブやビートへの表現の熱き想いと可能性に研鑽を重ね、オリジナルを乱造し、挑戦的アイデアを生み、構想、再編と挫折を繰り返してきた。
そして現メンバーとの出会いから再チャレンジと、このアルバムを築き上げるに至るまでの年月の経過には、簡単には筆舌に尽くし難く、紆余曲折を介し様々な道筋を経てきているのは、勿論言うまでもない。
しかし、バンドを結成してから一つの節目にさしかかる10年の歳月を経ようとする今、結成当時は思いもしなかった自身のルーツでもある初期衝動的R&B的解釈と表現アプローチや、オリジナル曲をも含めたあらゆる時代のブルーズミュージックを、国境や文化、様式美や時代を越え、ここまで見事に幅広く表現するに至る事になろうとは、正直想像だにしなかった。

歴代の名曲を演奏再現、再構築し、古の良き時代に思いを寄せ想像してみてわかる事は、下世話で猥雑で卑猥な街頭の風景や暗雲漂う時代背景、そこに繰り広げられる数々の人間ドラマと様々な人生、駆け引きや、騙し合い、裏切り、希望や絶望、泣き、笑い、悲しみ…etcだ。
日々生死の淵に直面する人々が、自由と愛と粋を胸にどう力強く貫き生きたのか、社会最底辺の路地裏に巣食う愛すべき天使や天才達が織り成す事実を基とした、果てしなき等身大の大衆の一大短編叙事詩であると解釈している。
そしてブルーズのような大衆音楽こそ、偉大な先人達の知恵と知識と教訓の伝承であり、この混迷の時代を生きる人々にとって絶対的に必要なガイダンスとなり、回答や打開策への手がかりへと導く道しるべになると言えるのではないだろうか?

この『Shake Your Hips』には、Local Production Recordsのファーストタイトル『Blue Stocking』でおなじみのシンガー兼ブルーズハーピストのNatsukoと、Boogie Woogieでも有名な盲目のRock’n Roll PinanistのJohnnyが、ゲストとして参加してくれた。
Wood BassにTone-ero、そしてElectric BassにMahという全くスタイルの異なるBass Playerの献身的、情熱的サポートも含めて、この4人の協力なくしては決して上りつめる事は不可能であった巓であった事はまぎれもない事実であり、心より感謝をしている。

言うなれば、果てしなき夜明けへと続く夜のいばらの山道を選ぶ、志を共にする全ての美しき魂の挑戦者達に、このアルバムを聴いてもらいたい。
The Tokyo Localsが自信を持ってお届けするファーストアルバム『Shake Your Hips』を、様々な地位や場所に生き、日々怒りや憤りを感じながらも、それでもなお良き世界を築き上げようと、粘り強く努力し生き暮らす全ての人々の人生に捧げたい。

Lui Bluesface (The Tokyo Locals)

NATSUKO『BLUE STOCKING』

The Tokyo Locals
Lui Bluesface (Vo)、塚本功(Guitar),
清水一平(Guitar/)、HIROKING(Blues Harp)
長谷川ナオヤ(Drums), MAH(E Bass), Tone-ero(Wood Bass)
+ゲスト/ Natsuko(Vo, Blues Harp), Johnny(Piano)

『Shake Your Hips』The Tokyo Locals
©Local Production Records LPR-0002

¥2,500+税
2019年6月1日より全国主要レコード店
及びAmazon,Ready Steady Go! Official Online Store
にて、発売予定。

The Tokyo Locals リリースライブスケジュール

5/18 東京MODS MAYDAY @新宿LOFT
5/21 Radical Music Network SP2019春/ Gaz Mayall Japan tour
@下北沢ベースメントバー
5/25 福岡 MODS MAYDAY @Kieth Flack
6/2 東京新宿 DU CAFE アルバムリリース視聴会イベント
6/6 アルバムリリース FREE LIVE @渋谷THE ROOM
6/22 アルバムリリースパーティ/UP ON THE ROOF with Soulcrap  @三軒茶屋a-bridge

そして今年のMODS Mayday JAPAN2019
MODS MAYDAYも、毎年ご紹介しているが、今年はThe Tokyo Locals,Natsukoの出演はいつも通りだが、ロンドンからギャズ・メイオールが来日し、MODS MAYDAYでは1987年以来となるDJをする予定である。

以下はオーガナイザー黒田マナブからのメッセージ。

39回目を迎える2019年今年のMODS MAYDAY JAPANのテーマは「DO THE SKA」MODSが愛したSKA !!。

豪華なバンド達に加えDJにもCLUB SKAや東京ロンドン化計画、VERSION CITYなどからゲストDJを招き、MODSシーンでも人気のDJ関口弘、佐藤志朗、Maru、uCjimaらが共演。

60年代イギリスでのMODSとSKAミュージックの関係, 80年代のMODSリバイバルと2toneの関係、その後のスカフレイムスが初めてMODS MAYDAYに出演した頃の東京MODSシーンとSKAの関係、GAZがMODS MAYDAYにLAUREL AITKENとPATATO 5で出演した1987年のMODS MAYDAY at INK 芝浦の話しなどなど、また現在のSKAシーンとMODSシーンの関係を含め、改めて今のSKAシーンやMODSシーンに集まる人たちへ色々と伝えたい!!。
そんな、思いを今年のMODS MAYDAYの会場で感じてもらえたら、最高に嬉しいです。
そして、楽しみに待っていてください!!

2019.5.18 (sat)
OPEN & START 18:00 (Allnight)
at SHINJUKU LOFT

TICKET : ¥5,000(D別)
DOOR : ¥5,500(D別)


SKA FLAMES/Blue Beat Players/THE FAVE RAVES/THE TOKYO LOCALS/RUDE BONES/Motel’s Sofa/Soulcrap/Natsuko & Johnny/
THE AUTOCRATICS/Le Virginie/NERVOUS HEARTS/THE RICOTTES/dirty bucks feat.peteracco/The Steed Hooves (Opening Act)


GAZ MAYALL/ピーター・バラカン/大貫憲章/CLUB SKA/東京ロンドン化計画/Version City/
稲葉達哉/Daddy-0-Nov(Back From The Grave,Radio Underground)/藤井悟(CARIBBEAN DANDY)/DJ HOLIDAY/
関口弘(FRATHOP Records)/momo/TXAKO(JAPONICUS / CARIBBEAN DANDY)/川野正雄(Local Production Records)/堀井康
佐藤志朗(FACING FACTS)/Maru(Modern Records)/寺島英知郎/加藤直樹/Jaga b/福田俊介/末續哲玄<s.t.g.>/Rei Ishii(The Numbers!)/
uCjima(NIGHT FOX CLUB)/ヒラノツヨシ(BLAST JAMS!!)/黒田マナブ “K.Dove”

Ready Steady Go! Mods Mayday コラボレーショントートバッグ
Ready Steady Go! Mods Mayday コラボレーショントートバッグ ¥2,000(in tax)

会場では、恒例となりつつあるReady Steady Go!と、Mods Maydayのコラボレーショントートバッグ(¥2,000 in tax)や、Ready Steady Go!メイドのThe Tokyo Locals Tシャツ(¥3,000 in tax)、『Shake Your Hips』先行発売(会場限定特別価格¥2,500 in tax)を販売致します。
またThe Tokyo LocalsのCDとTシャツを同時お買い上げの方は、特別価格¥5,000(in tax)で、販売致します。

The Tokyo Locals Tシャツby Ready Steady Go!