中野裕之監督が見た『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』

©2014 Mr. Dynamite L.L.C.
©2014 Mr. Dynamite L.L.C.

昨年ジェームス・ブラウンを描いた映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』を、Cinema Discussionで取り上げましたが、今年は同じジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』が公開されます。
ジェームス・ブラウンのファンが多いセルクルルージュでは、次回のCinema Discussionで取り上げる予定です。
その前にセルクルルージュでも御馴染みの映画監督中野裕之さんに、映画を見た感想を頂きました。
中野さんが昔からJB好きなのは知っていたので、今回はお願いした次第です。

©2014 Mr. Dynamite L.L.C.
©2014 Mr. Dynamite L.L.C.

「ミスター・ダイナマイト」

ファンクという音楽のジャンルを生み出した男、
それがジェームズ・ブラウンだ。という事がこの
映画を見るとわかる。
80’sのヒップホップのサンプリングやパリの
ラジオノヴァなどで繰り返し流されるレアグルーブの
波にのって僕もジェームス・ブラウンを知った一人だ。
なので、もうこの映画は知らなかったJBの宝庫だった。

ミック・ジャガーが製作にもクレヂットされていて
本人がインタビューにも出演している。
まあ、とにかく、ショーというかダンスと
音楽っていうスタイルもJBが作ったわけだから
マイケル・ジャクソンを始めとするフォロワーが
多いのはもちろん、音楽的にも今でもブレイクビーツと
いえば、必ず定番でかかるトラックの秘話も大変面白かった。

フレッド・ウエスリーとかボビー・バードとかメイシオ・パーカーとか
クライド・スタブルフィールドとか、ピィーウィー・エリスとか
すごいメンバーのバンドで『コールド・スウェット』くらいまでやってて
その後、ブーティコリンズたちの新若者バンドになったことなんて
全く知らなかったし。

レコードでしか知らなかった彼らの事が彼ら自身の言葉で語られている
この映画は音楽ドキュメンタリーの中でもかなりイケてると思う。
僕はディーライトの『Groove is in the heart』のクリップの撮影で
メイシオとブーティと撮影したけど、その時の興奮は一生忘れないし
『Good Beat』で再びブーティを撮影したときに覚えてくれてたのも
すげえ嬉しかったなあ。
それがJBだったらどんだけうれしいかって、話だね。この映画は(笑)
けっこう社会派だったってことも映画を見て知ったし、
あの時代の黒人のヒーローだったんだな、音楽以外でも。
ていうか、まあ、見たことない若いJBのカッコイイことったら!
70’sのヒゲJBとか今まで見たことないけどかなりゲイっぽいルックスで
笑ったぜ!!とかね。見るべし!!

by Hiroyuki Nakano 中野裕之

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『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』
2016年6月18日(土)角川シネマ新宿、渋谷アップリンク、吉祥寺オデヲンほか全国順次ロードショー

MIX CLOUD LCR Disco-28

有名無名問わず、
ロックな曲も絡めながら、
変化球多めで混ぜてみました。
下記LCR Disco-28のリンクボタンを押して頂くと、

MIX CLOUDのページにジャンプします。

楽しんで頂けたら幸いです。

LCR Disco-28
shuroom

  1. Expansions / LONNIE LISTON SMITH 1979
    レア・グルーヴを象徴する曲のUK12inchシングル。これは説明不要ですね。

  2. Line Up (instr.) / SHRIEKBACK 1983
    SHRIEBACKはXTCのキーボードBARRY ANDREWSと元GANG OF FOURのベースDAVE ALLENに、ギターとドラムスを加えたUK産ニューウェーヴ・ファンク・バンドです。このシングルがリリースされた1983年頃まではまだメジャー契約もなく、極太のBassにひたすら暗くて冷たい上モノがのるアンダーグラウンドな音を追求しており、のちにこの辺を「コールド・ファンク」と呼ぶようになります。

  3. If You Like Dancin’ / 94 EAST 1977
    この曲で聴ける弾きまくりのギターは、先日惜しくもこの世を去ったPRINCEによるものです。彼がまだメジャーデビューする前、ジュニア・ハイスクルール時代に友人達と組んでいたバンドがこの94 EASTですが、PRINCEのメジャーデビューを機にバンドは解散してしまいます。

  4. Ooooh Baby / ALAN WHITE 1976
    あのYESのドラマーがバンド活動の最中に好きな事をやってたソロアルバム『Ramshackled』一曲目。プログレバンドの名ドラマーとは思えないファンキーでソウルフルな歌にびっくりです。

  5. Let It Out / KRAAN 1975
    ドイツのジャズ・ロックバンド、KRAANの通算5枚目のアルバム『Let It Out』より。レコーディング・エンジニアには、クラウト・ロックの重鎮CONNY PLANKの名前も!フェンダー・ローズの音色が印象的なファンク・ロックです。

  6. Your Gold Teeth / STEELY DAN 1973
    ローズつながりで『おまえの金歯』。STEELY DAN2枚目のアルバム『Countdown to Ecstasy』より。このアルバムはDONALD FAGENの一番お気に入りだそうですが、こちらの曲はもう一人のメンバーWALTER BECKER独特の不思議な雰囲気がよく表されているラテンフレーバーの複雑な曲です。

  7. Gold / CHAPLIN BAND 1982
    DJ HARVEYが彼らの『IL VELIERO』をかけた事で広く知られるようになったオランダのバンドのアナザー・クラシック。THE CLASHの『Rock the Casbah』にちょっとだけ似ているバックにどこかで聞いたようなキャッチーなヴォーカルが乗ったB級ディスコです。

  8. Harmony / SUZI LANE 1979
    1990年6月にHarmony Tourと題してFrancis Kと共に一度だけ来日したLARRY LEVEN。その際、テーマ曲のようにこの曲をかけていたのを今でも思い出します。

  9. One Man Jam / 94 EAST 1977
    PRINCEを失ったことは本当に残念なので、94 EASTからもう一曲。

  10. Keep On Dancin’ / GARY’S GANG 1978
    白人ディスコ・プロデューサーのERIC MATTHEWSがリード・ヴォーカルをとるこのバンドの中でも最も知られたヒット曲です。

  11. Blue Steel / RINDER & LEWIS 1979
    RINDER & LEWISのエレクトロなアルバム『Warriors』より。前号LCR Disco-27でも取り上げた彼らの『Pride』にも通ずるスペーシーなクロスオーバー・インストです。

  12. You’re A Star / STARSHIP ORCHESTRA 1980
    LOFTクラシックとして有名なAQUARIAN DREAMの同名曲をNORMAN CONNORSのバックバンドがカバー。実はAQUARIAN DREAMもNORMAN CONNORSの別プロジェクトで、ご本人もこの曲が相当お気に入りだったのでしょう。

  13. Summer Breezin’ / GEORGE DUKE 1980
    FRANK ZAPPA卒業生であり数多くのフロア・ヒットを持つGEORGE DUKEですが、そのイメージとは違うこの曲が収録されたアルバム『A Brazilian Love Affair』とWAYNE SHORTERの『Native Dancer』はまだ若かった頃の自分に初めてブラジル系音楽の魅力に気づかせてくれたきっかけになったレコードです。

人はそれと知らずに、必ずめぐり会う。たとえ互いの身に何が起こり、どのような道をたどろうとも、必ず赤い輪の中で結び合うーラーマ・クリシュナー (ジャン・ピエール・メルヴィル監督「仁義」*原題"Le Cercle Rouge"より)