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READY STEADY GO! meets YOUNG SOUL REBELS

YOUNG SOUL REBELS down in the tube station
YOUNG SOUL REBELS
down in the tube station

昨年より休眠状態だった並木橋のUKスタイルショップREADY STEADY GO!(レディ・ステディ・ゴー)の一部商品が、吉祥寺の60年代テイストのスタイルショップYOUNG SOUL REBELS(ヤングソウルレベルズ)で、取り扱いを開始する事になった。
YOUNG SOUL REBELSは1993年、東京都武蔵野市吉祥寺にオープンし、20年以上に渡り60’s、モッズ、スキンズ、スクーターボーイファッションを古着、UKインポート、オリジナル商品や、欧米のビンテージ雑貨などを、提案し続けているスタイルショップである。
2016年4月より店内にカフェスペース開設。服を見ながら、アナログ盤で好きな音楽を聴いたり、コーヒーやスウィーツを楽しめるリラックスしたスペースへと進化を遂げている。

吉祥寺駅を出て西荻方面約5分。隣は中古レコードショップです。
吉祥寺駅を出て西荻方面約5分。隣は中古レコードショップです。

1985年の開業以来30年に渡って首尾一貫してUKスタイルを提案しているREADY STEADY GO!と、20年以上に渡って吉祥寺で、モッズなスタイル提案をしているYOUNG SOUL REBELSは、これまでリンクしたことはなかった。
昨年はオーナーの急病という事情で活動を休止せざるおえなかったREADY STEADY GO!だが、現在ブランドのリスタートに向けて、準備を進めている段階である。
その第1弾として、今回セルクルルージュのコーディネートで両者がネットワークし、YOUNG SOUL REBELSでの、一部の商品取り扱いがスタートする事になった。
商品は全てYOUNG SOUL REBELS用に、READY STEADY GO!がセレクトしたアイテムとなる。

ポール・ウェラーディレクションのクローム。
ポール・ウェラーディレクションのクローム。
クロームのシューズ。
クロームのシューズ。

今回の目玉となるのが、ポール・ウェラーがディレクションしたシューズブランドCHROME(クローム)のシューズだ。
これは2006年から2年間の限定で、ポール・ウェラーが英国のシューズメーカーHUDSONとコラボレーションして開発した商品だが、奇跡的にサンプルがほぼ全種類1点ずつ、サイズは7インチのみ残っていたのだ。
現在店頭入荷しているのは写真の6点のみだが、まだ他のストックもあり、今後もバリエーションは増えていく予定である。
クロームは幻のレアアイテムとして、英国のオークションサイトなどでは中古品でも200ポンド以上で取引されているシューズで、当時は日本でも39,900円(税込)で販売していたのだが、今回はサンプル品という事で21,300円(税込)という特別価格で発売する。
写真を見て頂くとわかると思うが、メッシュやスウェードなどの個性的な素材と、タイトなデザインがうまくマッチしており、ポール・ウェラーのこだわりポイントが伝わってくる。
自分も1足持っているが、タイトな割には履きやすい靴で、ビジネスシーンでもプライベートでも履きこなせる万能型コーディネートが出来るシューズである。
そして何よりも、ポール・ウェラー自らがディレクションした靴という事実が嬉しい1足だ。
本当に各1点ずつしか日本には無いシューズなので、気になった方は是非早めに見に行って頂いた方が良さそうである。

ポール・ウェラーが履いているウーヴのシューズ。
ポール・ウェラーが履いているウーヴのシューズ。
インナーがペーズリーのスウェードスリッポン。
インナーがペーズリーのスウェードスリッポン。
スウェードのチャッカーブーツ。
スウェードのチャッカーブーツ。

もう一つ今回販売するのは、サマーヴィル(S0MEREVILLE)という英国ブランドのシルクスカーフだ。
最近の流行に合わせるように、小型サイズからロングサイズまで英国国旗や米国国旗をモチーフにしたデザインから、シンプルなドットパターンまで、約50種類のスカーフを用意した。
こちらも全て1点ものだが、価格帯も3,000円~4,800円(税込)と、シルクとしてはとてもお求めやすいレンジに価格設定をしてあるので、是非気に入った一枚を見つけて頂きたい。

サマーヴィルのシルクスカーフ
サマーヴィルのシルクスカーフ
サマーヴィルのスカーフ。サイズと柄は色々あります。
サマーヴィルのスカーフ。サイズと柄は色々あります。

メンズアイテムでは、同じくサマーヴィルのネクタイ(4,300円 税込)や、カーナビーストリートのオーセンティックなモッズショップMERCのポークパイハット(5,100円 税込)も取り扱うが、いずれも1点ものになる。

サマーヴィルのネクタイ
サマーヴィルのネクタイ
MERCのポークパイハット。
MERCのポークパイハット。

YOUNG SOUL RABELSのショップは、吉祥寺駅を杉並方向に少し歩いたロケーションになる。
井之頭公園周辺や、サンロード、中道通りといった休日の吉祥寺の喧騒とは無縁の場所に位置しており、周囲には中古レコードやパン屋、コーヒーショップなどが、静かに並んでいる末広通りの一角である。
この4月に改装し、カフェスペースが出来、営業時間も21時まで延長となった。

店内にはカフェスペースも。レコードを聴いたり、服を見ながら、ゆったりと過ごすことが出来る。
店内にはカフェスペースも。レコードを聴いたり、服を見ながら、ゆったりと過ごすことが出来る。

訪問した休日の昼間や土曜の夜は、カフェスペースでくつろぐお客様も多く、場としての存在感が以前よりも高まっている印象を受けた。
最近はカフェ併設の書店や、家具屋が増えているが、洋服とカフェの共存をコンパクトな空間ではあるが、絵やターンテーブルを並べることによって、快適に演出をしているのが、YOUNG SOUL REBELSの特徴である。
特に週末の吉祥寺駅周辺では、静かにお茶を飲む行為はほぼ絶望的なのだが、ここに来れば静かに会話を楽しんだり、本を読むことが出来る筈だ。

店内にはモッズな香りが漂っている
店内にはモッズな香りが漂っている
made in UKのインポートや、レディスの古着が揃う。
made in UKのインポートや、レディスの古着が揃う。
「勝手にしやがれ」ジーン・セバーグのヘラルド・トリュビューンTシャツも。 vintage-pix2.blogspot.jp
「勝手にしやがれ」ジーン・セバーグのヘラルド・トリュビューンTシャツも。
vintage-pix2.blogspot.jp
BLUE BEAT、TAMLA MOTOWNなど、60'SテイストのオリジナルTシャツが充実している。
BLUE BEAT、TAMLA MOTOWNなど、60’SテイストのオリジナルTシャツが充実している。

置いてある商品も開店時から扱っているようなモッズテイストのUKブランドや古着から、可愛いヨーロッパの様々な雑貨まで、商品のレンジも拡大している。
特に充実しているのが、オリジナルTシャツで、TAMLA MOTOWN,BLUE BEATなど、音楽的なデザインや、『勝手にしやがれ』などの映画をモチーフにしたものまで、見ているだけで楽しくなるデザインが揃っている。

kidsアイテムも充実。
kidsアイテムも充実。

さらに嬉しいのはKIDSアイテムの充実だ。
BLUE BEATのKIDS Tシャツなどは、他では買う事は出来ないだろう。
音楽好きのお父さん、お母さんは、親子ペアで着ることも可能だ。

ケイト・スペードのエアメールをモチーフにしたバッグ
ケイト・スペードのエアメールをモチーフにしたバッグ
スタイルカウンシルのアルバムジャケットをモチーフにした絵が展示
スタイルカウンシルのアルバムジャケットをモチーフにした絵が展示

READY STEADY GO!の本格的な再起動までにはもう少し時間がかかる見込みだが、詳細が決まったらこのサイトで紹介をする予定なので、もう少しお待ち頂きたい。
まずはYOUNG SOUL REBELSという同じmade in ENGLANDをコンセプトにしたショップとのコラボレーションによって、それぞれのファンの方に、新たな発見や刺激があるような展開を企画していきたいと考えている。
吉祥寺のYOUNG SOUL REBELSまで、コーヒーを飲むだけでも良いので、是非とも足を伸ばして頂ければ幸いである。

YOUNG SOUL REBELS〒180-000東京都武蔵野市吉祥寺南町2-12-10
0422-71-0050
営業時間 12:00~21:00 水曜定休

60’s Pop Musicの仕事人達を描いた 『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』/ ”THE WRECKING CREW”/

©2014,Lunchbox Entertainment
©2014,Lunchbox
Entertainment

60年代LAで活躍していたスタジオミュージシャンを描いたドキュメンタリー『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』が公開されている。
今の時代は、参加ミュージシャンはクレジットされるのが当たり前になっているが、1960年代には、殆どスタジオミュージシャンの名前が表に出る事が無かった。
この映画は、スタジオミュージシャン集団レッキング・クルーのギタリストであり、リーダー格だったトミー・テデスコの息子デニー・テデスコが、父親達の軌跡を埋もれさせない為に制作したものである。ただ使用される130曲の楽曲の著作権クリアにお金と時間を要し、18年の年月とクラウドファンディングの助けを借りて、ようやく完成にこぎつけたという背景を持つ。
僕は彼らの存在を、残念ながら全く知らなかった。
キネマ旬報のピーター・バラカンさんの評を読むと、モータウンやスタックスなどのレーベルはには専属ミュージシャンがいたというし、ジャマイカのレゲエレーベルスタジオワンでも独特のサウンドを創り出すメンバーがいたが、LA,NYではそういう存在はなく、フリーのスタジオミュージシャンが多数活動していたようだ。

©2014,Lunchbox Entertainment
©2014,Lunchbox
Entertainment

レッキング・クルーはその中でも、フランク・シナトラやエルビス・プレスリーのような超メジャーアーチストから、ビーチ・ボーイズ、サイモン&ガーファンクル、バーズ、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド、フィフス・ディメンションなど、一つのカテゴリーや時代を創り出したアーチストに大きく貢献をしているチームである。
ビーチ・ボーイズのブライアン・ウイルソンは、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドに影響を受けて、レッキング・クルーを起用し大きな成功を収めたのだが、彼らの存在をしっかりウォッチすると、当時のLA音楽シーンのネットワークが見えてくるのではないかと思う。

このドキュメンタリーの中で、僕が最も注目したのは、前述したフィル・スペクターがプロデュースするウォール・オブ・サウンドとザ・モンキーズである。
ウォール・オブ・サウンドの代表曲はロネッツの名曲『ビー・マイ・ベイビー』だ。
遥か昔の話になるが、映画『さらば青春の光』を見て、一時期は毎日スペクターサウンドを聴いていた。
オーバーダビングを多用し、ラジオ用にモノラル録音に拘り、誰もが好むようなガールズポップを次々に産み出したフィル・スペクターの音楽シーンに与えた影響は計り知れなく、それを陰ながら支えたのが、レッキング・クルーということになる。

70年代になると、レッキング・クルーは、カーペンターズの世界的大ブレイクにも貢献する。
デビュー前のカーペンターズは、サイケデリック全盛のLAで、地道に自分達のサウンドである美しいポップミュージックを追求していたグループだ。
この映画にも度々登場するA&Mのハープ・アルバートに見出され、メジャーデビューをしているので、レッキング・クルーの起用は必然であった。
サウンド的にはフィル・スペクターの影響を感じされる楽曲が初期には多く、大ヒット曲『スーパースター』は、映画の中でもレッキング・クルーの一員的な位置づけで登場するレオン・ラッセルの作曲である。
あまりにもメジャーな存在で、日本ではイージーリスニングの代表としてやや軽く扱われている一面もあるが、カーペンターズのサウンドは、フィル・スペクターのようなポップミュージックの基盤に立脚しているという事を、改めてこの映画を見て感じることが出来た。

ザ・モンキーズは、自分にとって特別な存在のグループである。何と言っても最初に買ったレコードが『モンキーズのテーマ』なのだ。
この映画の中では初めて(なのかな)と言ってもいいのではないかと思うが、ミッキー・ドレンツとピーター・トークというメンバー自身によって、モンキーズの真実が語られる。
僕が一番好きだったメンバーは、一番地味でミュージシャンらしいピーターだった(以前小山田圭吾さんとモンキーズについて話した際、彼もピーターが一番好きだと言っていた)のだが、現在の彼の口から真実が語られる事に、小さな興奮を覚えた。
自分が小学生だった時代だが、モンキーズが来日して武道館公演が放送され、「スター千一夜」に出演する生の彼らの姿を見て、TVとは違いヒッピーのような様相だったので驚いた事を、よく覚えている。その時も裏では別のミュージシャンが演奏しているという疑惑が持ち上がっていた。
実際リーダー格のマイク・ネスミスが演奏問題でマネージメントともめるなど、人気グループゆえの様々な問題を抱えていたらしい。
その辺はアイドルとミュージシャンの狭間で同じように悩みを抱えていた同時代の日本のグループサウンズにも、相通じる部分がった。
しかしLIVEからの叩き上げであった日本のグループサウンズとの決定的な違いは、モンキーズがオーディションによって集められたグループであり、演奏力以外の部分で、メンバーが決まっていった部分である。
落ちていたメンバーの中には、スティーヴン・スティルスや、後年ラヴィン・スプーンフルや、スリー・ドッグ・ナイトに加入する実力派のメンバーがいたという伝説になっている。
そういう芸能的な事情があるグループだけに、レッキング・クルーへ大きく音楽的に依存していた事も、容易に理解できる。
例えそうであっても、モンキーズのポップで、美味しいどこ取りをしたようなヒット曲の数々は素晴らしく、今聴いても全く色褪せていない。
ビートルズやビージーズのようなロック的なサウンドから、後年登場するアバのようなポップなサウンドまで、モンキーズのジャンル的懐が深いのも、レッキング・クルーがあっての事であろう。

パンクアンセムになっている『STEPPIN’ STONE』や、忌野清志郎さんもカバーした『デイドリーム・ビリーバー』など、現在まで生き続けている曲も多い。
1967年にリリースされた『スターコレクター』は、この時代らしいスカビートに、サイケデリックを混ぜたアップテンポの傑作だが、皮肉なのかギャグなのか、ビデオではピーターとマイクがエアギターを弾いている。
こういった楽曲のクオリティと守備範囲の広さは、レッキング・クルー無しでは生まれなかったのではないだろうか。
一番人気だったディヴット・ジョーンズは既に鬼籍に入っている(デヴィッド・ボウイは、彼と同姓同名だった為、ボウイと名前を変えたらしい)が、最近ミッキーと、ピーターで再結成し、ポール・ウェラーやノエル・ギャラガーが楽曲を提供するという話も聞いている。

映画『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』は、見た方一人一人の音楽的体験で、様々な入り口や思い出が見つかってくる作品だ。
1960年代のポップミュージックが好きな方には、是非体験して見て頂きたい記録映画である。

2016年2月20日(土)~3月4日(金)
新宿シネマカリテほか、2週間限定モーニング&レイトショー!
2014/アメリカ/101分/1.78/ドキュメンタリー