昨年のクリスマスイヴに、冷牟田竜之さん率いるTHE MANと、熱い共演をしたDJ SCRATCHYから、素晴らしい日本土産が、届けられた。
以前にもご紹介したが、DJ SCRATCHYは、40年のキャリアを持つ英国のDJだ。クラッシュやポーグスなどのツアーDJを勤めたDJ界のレジェンドともいうべき人物である。
昨年末に4回目の来日をし、東京京都でのTHE MANとの共演を始め、松山、広島、大阪、青森、盛岡と、正に全国縦断ツアーを行った。
ツアー中にはジョー・ストラマーの追悼イベントにも参加するなど、還暦を過ぎたDJとは思えないパワフルなスケジュールであった。
藤井悟君らの東京のDJに加え、各地の地元のDJとの共演、THE MANやCOOL WISE MANなど、日本のバンドとの共演は、DJ SCRATCHY としても、収穫の多いツアーだったようだ。
その証として彼が選曲しているラジオプログラムSCRATCHY SOUNDSで、日本で仕入れた曲を集めたSCRATCHY SOUNDS JAPAN EDITIONが制作されたのだ。
セルクルルージュでも毎月お届けしているMIX CLOUDでも、聞いて頂くことが出来る。
SCRATCHY SOUNDS JAPAN EDITIONは、THE MANのライブオープニング曲である『太陽はひとりぼっち』のテーマからスタートし、THE MAN, COOL WISE MAN,デタミネーションズなど日本のレゲエ〜スカバンドの音源に加え、DJ SCRATCHYらしい日本のガレージロックともいえる寺内タケシ&バニーズ、レアグルーヴ的な黛ジュンや笠置シズコまで選曲し、聞き応えのある構成になっているので、是非リンク先から試聴してみて頂きたい。
僕が見たクリスマスイヴの渋谷LA MAMAでのDJは、19時半スタートということもあり、他のライブに比べると、ゆるやかなDJパフォーマンスだったのではないかと思う。
オーディエンスも盛り上がるというよりも、DJ SCRATCHYのDJにひたすら注目しているという空気が強かったのである。
クラッシュの『STRAIGHT TO HELL』でスタートしたDJは、場内のテンションを極限まで上げるというスタイルではなく、その後に登場するTHE MANのLIVEまで観客のテンションを徐々に高揚させていくスタイルであった。
このスタイルは正に僕が30数年前のクラッシュ公演会場でのライブ前に聞いたBGMと、同じ血が通っているものであった。
その事が確認出来ただけでも、今回のLIVEには、行った価値が個人的にはあったと思う。
選曲は自分の知らない曲が殆どであった。
同じジャンルを多く続ける事は少なく、ロック、レゲエ、スカ、ラテン、R&Bが、絶妙なつなぎで、次々に繰り出されてくる非常に懐の深さを感じさせるDJだった。
クラッシュの『THE GUNS OF BRIXTON』のレゲエ版は、未だに何だったのか気になっている。
そしてTHE MANのLIVEは、2015年最後の東京公演に相応しい熱いステージであった。
普段もステージの熱気が高いのが彼らの個性だが、この日のパフォーマンスはいつも以上に気合いの入ったものであった。
メンバー一人一人の技量が昨年同時期に同じ会場で見たLIVEの時よりも、明らかに高くなっていることもあり、熱気に加え、メンバー間の楽器のやり取りの緊張感というものが、より強くなったというのが、今回観た印象である。
多分今やっている楽曲に関しては、完成されたと言ってもいいパフォーマンスだと思う。
今年はそれが進化して、どのような方向になり、僕たちにTHE MANの次なる道を見せてくれるのか、是非期待したい。
そして次回は、是非DJ SCRATCHYの上げていくDJを聴いてみたいと思っている。