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ジャン=ポール・ベルモンドワールド全開の傑作選3/Cinema Discussion-47

Jean-Paul BELMONDO (Gabriel Fouquet), Jean GABIN (Albert Quentin), Noël ROQUEVERT (Landru)
Réalisation: Henri VERNEUIL

公開映画を複数の視点からとらえ、映画評論の新しい手法を考えようとしてスタートしたセルクル・ルージュのシネマ・ディスカッション。
第47回は、今回が第3回開催となるジャン=ポール・ベルモンド傑作選3です。
この特集上映は、第1回第2回も、セルクルルージュでは大特集しているプログラムです。
セルクルルージュ・ヴィンテージストアでも、ベルモンド出演作品のレアなオリジナルポスターをアメリカとヨーロッパからコレクションし、発売しております。
上映作品は、『勝負をつけろ』、『冬の猿』、『華麗なる大泥棒』、『ラ・スクムーン』、『薔薇のスタビスキー』、『ベルモンドの怪盗20面相』、『パリ警視J』の7本です。
昨年ベルモンドは惜しくも昨年9月に逝去し、世界中から惜しまれ、フランスでは国葬級の葬儀が行われました。
そのベルモンドを偲びつつ、魅力を再発見したいと思います。
今回も映画評論家川口敦子と、川野正雄の対談形式でご紹介します。

『パリ警視J』© 1983 STUDIOCANAL – Tous Droits Réservés.

★今回は第3弾となったベルモンド傑作選、お薦めベストをそれぞれにあげるという形でいってみたいと思います。昨年9月に亡くなってはや一年が過ぎたベルモンド、その追悼の意も含めた今回のセレクション、ベルモンドというスターの多彩・才さを証明するようにお愉しみの様々な色を差し出してくれますね。そんな中でベスト3を選ぶとしたら、まずはお勧め第3位の映画は? その理由は?

川野正雄(以下M)
今回の傑作選3も、見事なラインアップで、どれも捨て難いのですが、個人的な思い出も含めて、初めてスクリーンでベルモンドを見た『華麗なる大泥棒』を挙げます。
見に行った日の事はよく覚えていて、友人達と新宿で見た後、中野の友人宅に行き、感想を語り合いました。
ともかくベルモンドのアクションと、ハンチングにトレンチコートや、革のボマージャケットなどスタイルも格好良く、そこから今日まで私がベルモンドフリークになるきっかけになった作品です。
多分3回目の鑑賞ですが、新たに見直した点も多いです。スタントではないとわかるように撮影されている土砂の落下シーンなどアクションの数々、フィアットでのカーチェイスシーンなど、今なら撮影の難易度も理解出来ます。
そしてオマー・シャリフ、ロベール・オッセン、レナート・サルバドーリなど渋い共演陣。当時もオマー・シャリフのエポレットもベルトもないトレンチコートがすごく素敵に見えて、真似をして、似たようなタイプのコートを学校用に買った事を覚えています。
オマー・シャリフが馬に乗る遊園地のシーンは、『アラビアのロレンス』を思い出してしまいました(笑)。
エンニオ・モリコーネのテーマ曲もいいですね。
話自体はシンプルですし、ベルモンド演じるアザドの内面に深く入るわけではありませんが、ベルモンドらしい軽妙洒脱さに溢れる作品と思います。
更にベルモンドとシャリフの会食シーンの料理、キャバレーシーンの前衛的なステージなど、映画的なスパイスもよく効いています。
アンリ・ヴェルヌイユ監督は、さすがの安定演出と思いますし、娯楽エンタメ映画としては、今回のラインアップでもピカイチの存在ではないかと思います。
この映画では、最高の“動”のベルモンドを、見る事が出来ます。

THE BURGLARS © 1971, renewed 1999 Sony Pictures Television Distribution (France) SNC. All Rights Reserved.

川口敦子(以下A)
『薔薇のスタビスキー』とどちらにするか迷いましたが、この際、やはり『大盗賊』以来の名コンビ、フィリップ・ド・ブロカ監督と組んだ『ベルモンドの怪盗二十面相』を挙げたいと思います。
口八丁手八丁のプレイボーイで洒落者で、お調子者、だけど憎めないキャラクターをこれでもかの弾けっぷりで見せる、体現するベルモンド、やっぱり好きだなあ、と。とにかく動き続ける、しゃべり続ける、その活力に呆気にとられていくうちに、うーんどうなんだ⁈ってプロットも許せる気になってくる、まさにベルモンドあってこそ成り立つ一作じゃないでしょうか(笑) とはいえエンディングにかけてのモン・サンミッシェルを遠くに置いたアジトでのおちのつけ方にただよう不思議に朗らかな諦観みたいなもの、そこにたちのぼるリリシズム――と、監督ド・ブロカの美点もそっと押さえられている気がするんですね。で、そのド・ブロカの『まぼろしの市街戦』でのヒロインが忘れ難いジュヌヴィエーヴ・ビジョルト、同じ76年にはデパルマ史上最大の傑作と呼びたい『愛のメモリー』での快演もある彼女の小動物的キュートさも見逃せないし、ルルーシュ映画でもおなじみ、ベルモンドとは公私にわたって相棒的関係だったようにも見えるラウール役シャルル・ジェラールの存在も要チェック。とにかくしかめつらしく論じるばかりが映画じゃないと、改めて思い直したくなる一作なんですね。

「怪盗二十面相」
©1975 STUDIOCANAL – Nicolas LEBOVICI. Tous Droits Réservés.

★続いて二番目にお薦めの一作とその理由は?

A:ここは迷いなく『勝負をつけろ』ですね。原作のジョゼ・ジョヴァンニ自身が監督を務めてリメイクというか自分の思うように撮り直した『ラ・スクムーン』も今回、上映されるので、もちろん見比べてみる楽しみもあります。見比べると堂々、スターの貫禄で”死神″と呼ばれた男を演じる『ラ・スクムーン』のベルモンド39歳もいいんですが、『勝手にしやがれ』でブレイクした直後のひょろりとやせた、か細くで繊細で、それだけに逆に非情の殺し屋ぶりがぞくりと目を撃つ『勝負をつけろ』のベルモンド28歳にはおおっと惹き込まれずにはいられないものがある。後半の山場、地雷撤去のスリリングな場面、その後の農場での平和な暮らしを夢見るくだり、そのために――と男の友情のノワールならではのすれちがい、涙腺刺激なプロットとエンディングの乾いた苦み、親友の妹との恋というあたりに関しても若さがぐっと効いてきて、後のカルディナーレの余裕のヒロインぶりより清純派クリスティーネ・カウフマンとの密やかな想いの交換、その純情が青春映画としての魅力も付加しているように思います。
あとベルモンドからちょっと離れますが、アメリカ兵崩れのギャングとして登場してくるミシェル・コンスタンタンの面構え、歩行の不気味な色気もお見逃しなくですね。『ラ・スクムーン』では親友役に昇格(?)してますが、私は断然、『勝負~』の彼が好きですね。突飛な連想ですがなんだか『牯嶺街少年殺人事件』のラッパズボンの不良がパーラーに入ってくるときの歩行の異様さと重なってきて、エドワード・ヤン、意識してた、見てた?と勝手にうれしくなったりもしてしまいます。うれしくなるといえば、クレジットタイトルにジャン・ピエール・メルヴィルのスタジオが記されていて、そういえばこのモノクロの世界、通じてなくもないなとこれまた勝手な連想ゲームを愉しんだりもできるんですね(笑)

「勝負をつけろ」
© 1961 STUDIOCANAL – Da. Ma. Cinematografica

M:私も今回見て、一番良い方向に印象が変わったのが『勝負をつけろ』です。
最初に見たのは30年くらい前ですね。レンタルビデオです。確か最近のドラマ『拾われた男』の舞台になった新宿TSUTAYAで借りたと思います。『冬の猿』も、そこでレンタルしたはずです。
同じ原作の『ラ・スクムーン』も選びたい作品なのですが、敦子さんが言うように、こちらは乾いた感じを、改めて感じました。この時代のベルモンドは、次の上映でリクエストしたい『墓場なき野郎ども』『いぬ』などノワールの傑作が多いのですが、『勝負をつけろ』も、間違いなく60年代初期のフレンチフィルムノワールを代表する傑作だと思います。
改めて見ての発見は、メキシコぽさと、ミシェル・コンスタンタンの存在感です。『ラ・スクムーン』ではメインキャストになっていますが、この悪党面は、一度見たら忘れられませんし、ジョセ・ジョバンニ原作作品には欠かせない俳優だと思います。
脱線しますが、コンスタンタンと、元広島カープの衣笠祥雄さんがよく似ていて、雑誌の企画で衣笠さんがイタリアンファッションを着る企画があり、まさにミシェル・コンスタンタンでした。
1961年のベルモンドは、6本も出演作があり、前にも話したと思いますが、売り出し中の若手スターという感じでの大活躍の年でした。その中でこのクールなラ・ロッカ役は、はまり役で、“静”のベルモンドの代表作の一つではないかと思います。
傑作選1で上映された同年の『大盗賊』では、フィリップ・ド・ブロカ監督とのコンビでの、ユーモアとアクションという新境地が生まれ、この1961年は、ベルモンドがヌーベルヴァーグの落とし子から、スター俳優へと進化していった年だったと考えます。
話を『勝負をつけろ』に戻すと、是非『ラ・スクムーン』と見比べて頂きたいと思います。
ベルモンドの早撃ちや二丁拳銃など、クールなガンマンぶりは、どちらもすごく魅力的です。緊迫感のある地雷取り外しシーンも見所です。後半の刑務所内の描写は、「勝負をつけろ」は、妙にリアルで、実際も同様なのかと思ってしまいました。

「勝負をつけろ」
© 1961 STUDIOCANAL – Da. Ma. Cinematografica

★一本に縛り込むのは至難の業と思いつつ、今回のベルモンド映画、いちばんお薦めなのは? その理由は?

A: これももう迷うことなく『冬の猿』できまりですね。待ってました! と掛け声かけたくなるファンも多いのではないでしょうか。叱られるのを覚悟でまたいえばカサヴェテス『ハズバンズ』と同様に女子供にはつけ入る隙の無い男の世界が、女子供にも迫ってくるんです(笑) 悪友の死に酔っぱらってロンドンまで飛んでっちゃう男たちも泣けるけれど、この冬に向かうノルマンディのさびれた海辺の町にやってきたやけのやんぱちの青春末期の青年に、禁酒の誓いを破って共に酔う老人、ふたりが(もうひとりの変なおじさんも忘れてはいけませんが)つぎつぎにあげる花火が寒空を染めて、諦めきれない若き日の夢を葬るふたりを照らし――なんて、こう書くとなんだかおセンチな”男のロマン″おしつけ映画みたいに響いてしまいますが、そうじゃない、ぎりぎりのところで感傷を退けるその持ちこたえ方がいい! これでもかと見せてしまう、描いてしまう昨今の映画が忘れた美学ですね。
そんな美学を裏打ちしているのが乾いたユーモアの感覚でもあると思うんですが、酔いどれ演技として道路の真ん中で疾走してくる車を牛に見立ててベルモンドが闘牛士然とケープならぬジャケットさばきをみせる場面にしても、デスパレートな男の心とそれを裏切る身体の醸すユーモアのバランスにも注目したい。ベルモンドの演技のセンスのよさがそういう点にも光っているように感じます。ちなみにこの道路での闘牛は原作者で脚本にも参加しているアントワーヌ・ブロンダン、酔いどれ作家でもあった彼の実体験だったようです。
もちろんジャン・ギャバンとベルモンドの顔合わせも味わいどころですが、新旧スターの顔合わせとしてギャバンは同じ頃、ドロンとも組んでいたわけですが、見比べるとドロンとベルモンドのそれぞれの持ち味がギャバンの傍らでよりはっきりと見えてくるようで面白い。で、もうひとり、要チェックなのはギャバンの奥さん役シュザンヌ・フロン、長いキャリアをもつ名女優ですが、ここで男たちを見守る妻の取り残され感、これも沁みますね。

「冬の猿」
© 1961 GAUMONT – Tous Droits Réservés.

M:同じく『冬の猿』ですね。ベルモンド作品は、選びきれないくらい好きな作品が並びますが、『勝手にしやがれ』と『冬の猿』は別格です。
傑作選1は『オー!』、傑作選2は『カトマンズの男』が一番好きな作品でしたが、『冬の猿』は、傑作選シリーズを通じてのマイベスト作品です。
30年くらい前にビデオを見た際、何でこの素晴らしい映画が未公開だったのかと感じました。
泥棒でも殺し屋でもない、酔っ払いの広告クリエイターのベルモンドが、じつに魅力的です。そしてジャン・ギャバン。老けて見えますが、実は当時まだ56歳。
突っ込み役のベルモンドと、受けのギャバン。同じ時代アラン・ドロンと共演した『地下室のメロディ』でもジャン・ギャバンは見事な受けの芝居をしていますが、若手とのコンビネーションが実にうまい。三船敏郎か、勝新太郎のような酔っ払い演技にも、可笑しさを含めて、圧倒されます。
30年ぶりくらいに見直して、改めて感じたのは、冒頭の爆撃シーンのリアルさ。ドキュメンタリー映像とのコンビネーションだと思いますが、後半の映画のトーンとは大違いの過酷さで、一気に緊張感が走ります。
このリアリティは、アンリ・ヴェルヌイユ監督が後年ベルモンドと組んだ戦争映画『ダンケルク』の演出にも繋がっていったと思っています。
初めて見た時の印象は、こんなにも心を爽やかにしてくれる映画があったのだと言う喜びと驚きです。
街の鼻つまみ者達が、最後に街の人たちに幸せな気分を与える。そして禁酒という呪縛との内面の葛藤や、別れた妻や娘への思い。『テオレマ』のような、突然の訪問者によって、変わっていく一家の表情。
酒場やホテルで繰り広げられる会話や騒ぎが、最後にはエモーショナルな景色となって昇華するアンリ・ヴェルヌイユ監督の演出は、実に繊細で、細部まで行き届いています。
モノクロの映像もまたいいですね。ベルモンドがシトロエンDSのタクシーに乗って、街にやって来た雨の夜や、街の通りの標識を象徴的に描いた場面は、特に素晴らしいです。
仏版ポスターのモチーフにもなっているベルモンドのマフラーも素敵です。
『ラ・スクムーン』の白いストールや、『華麗なる大泥棒』のアスコットタイも合わせて、ベルモンドは巻物の使い方もとても洒落ています。
いやいや、『冬の猿』の好きな点を挙げたらキリがありませんね。

「冬の猿」フランス版ポスター

★さて、3本といいましたが、もちろん好きとは言えないけれど映画としてはすごい、とか映画としては?マークだけれどさすがベルモンドな映画とか、あげられなかった映画についてこの際いっておきたいということがあればぜひ!

A:『去年マリエンバードで』とか『プロビデンス』とか一筋縄ではいかない映画で知られる監督アラン・レネが撮った『薔薇のスタビスキー』の”わかりやすさ″、これはちょっと興味深いですよね。ベルモンドというスターのキャラクターを稀代の詐欺師のカリスマ性に託して描くことで相変わらずスタイリッシュではあるけれど、より平明な語り口を手に入れているというのでしょうか。フランソワ・ペリエもですがやはりシャルル・ボワイエの往年の二枚目演技の残り香が香るあたりの活かし方もいいですね。

「薔薇のスタビスキー」
© 1974 STUDIOCANAL – Nicolas LEBOVICI – EURO INTERNATIONAL FILMS (Italie). Tous Droits Réservés.

M:先ほども少し言いましたが、『ラ・スクムーン』ですね。
『薔薇のスタビスキー』も、もちろん好きですが。こちらはトロッキーが出てくるので、少し前に公開されたジョセフ・ロジー監督、アラン・ドロン主演のトロッキー暗殺を描いた『暗殺者のメロディ』を思い出しながら見ていました。
サンローランの衣装も見事です。この映画が作られた時代は、『華麗なるギャッツビー』など、1930年代のデカダンス的な作品が多かったように思います。
敦子さんご指摘のようにわかりやすく、アラン・レネ監督ぽくはないですよね。
『ラ・スクムーン』は『勝負をつけろ』とはエンディングも違いますし、洒落者など、登場するサブキャラの存在感も強くなってきています。
より味付けが濃くなり、クールさよりもエモーショナルさを打ち出した演出になっています。よりドラマチックになっています。ベルモンドも殺し屋的な存在感になっていて、より犯罪者の香りが強くなっています。
そして、ミシェル・コンスタンタンと、クラウディア・カルディナーレという濃い顔の役者が、ガッチリとベルモンドを受け止めているのも見所です。
因みにエンディングだけで言うと、私は『ラ・スクムーン』の方が、少しだけ好きです。
そして2丁拳銃の格好良さ。これはもう千両役者!と叫びたくなる位に、惚れ惚れとします。

「ラ・スクムーン」
© 1972 STUDIOCANAL / PRAESIDENS FILMS (Rome). Tous droits réservés.
ラ・スクムーン フランス版ポスター

★改めてベルモンドの魅力を嚙みしめると映画の今、はたまた未来に受け継ぎたい彼の遺産とは?

A:映画の今や未来なんて、深刻に構えないノンシャランとした演技とキャリアの究め方かな。『冬の猿』はじめ8本の映画でベルモンドと組んだ監督アンリ・ヴェルヌイユは「彼は事前に脚本を読んだりしなかった、役作りに悩むなんてこともなかった、「いまの場面の僕、どうだった」なんて聞くこともなかった。演出に対して提案したりもしなかった」と振り返っているそうです。でもこの発言を引いた英ガーディアン紙の追悼記事はメルヴィルのこんな発言も引いています。「あの世代でもっとも熟達した演技者だった。どんな場面でも20通りの演じ方を差し出すことができた。そのどれもが正解だった」
なるほどなと、あの屈託なくでも繊細な演技を懐かしく思い返しています。

M:パンフレットの日本での特集上映に向けたベルモンドのインタビューが出ています。その中で出演作品には優劣をつけない回答がありました。これはとてもベルモンドらしいなと思いました。
『シラノ・ド・ベルジュラック』で来日した際のエピソードも話していて、見に行ったファンとしては、とても嬉しかったです。
で、未来に向けてですが、ベルモンドは唯一無二の存在で超える人も変わる人も出てこないと思います。ジャン・ギャバンも結局替わる人も出ていないですし、ベルモンドもドロンもギャバンにはなれなかったです。
ベルモンドの場合は、変幻自在なキャラクター造形と、アクションから恋愛映画までこなす芸域の広さ、更にフランス俳優らしい洒落っ気が、大きな魅力と思います。
それとやはりベルモンドはヌーベルヴァーグに始まり、フィルムノワール〜アクション〜コメディと、時代のニーズに応えていた面が大きかったと思います。
70年代〜80年代になっても、時代や観客のニーズに応えてのベルモンドであり、その時代その時代のフランス映画を象徴する存在でした。
今後フランスに現れるスターも、その時代のニーズに合った象徴になり、ベルモンドとは違う存在感になる筈です。
替わりはいないという事で、我々に出来る事は、ベルモンドの素晴らしさを日本の中で次の世代の人たちに伝えていき、『ルパン3世』のように、ベルモンドフォロワーが新しい解釈で作品を作っていく環境を生み出すという事ではないかと思っています。
そういう意味でこの傑作選シリーズは、本当に素晴らしい試みで続いていって欲しいです。

「華麗なる大泥棒」
THE BURGLARS © 1971, renewed 1999 Sony Pictures Television Distribution (France) SNC. All Rights Reserved.

★傑作選、次回にお願いしたいベルモンド映画は?

M:ベルモンド作品まだまだ沢山あります。
個人的なリクエストとしては、未見の『バナナの皮』、『黄金の男』、『コニャックの男』です。
初期フィルムノワールの傑作、ジョセ・ジョバンニ原作作品の『墓場なき野郎ども』、メルヴィルの『いぬ』も、そろそろ見たいですね。
そして戦争映画2本。アンリ・ヴェルヌイユ監督の『ダンケルク』。これは連合軍讃歌になってしまったクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』をご覧になった方に是非見て頂きたいです。
米仏合作のオールスターキャストの大作ですが、『パリは燃えているか』。自分の第二次世界大戦に対する目線も変わり、改めて見たい作品です。ハリウッドスターのカーク・ダグラスは、ベルモンドの共演を実現したくこの作品に参加したと言われています。
ベルモンド作品とは言い難いかもしれませんが、是非スクリーンで観たいですね。

A:前にもいった気もしますが『雨のしのび逢い』『ふたりの女』『ビアンカ』『女は女である』『モラン神父』の頃の、ルパン3世的おとぼけキャラクターを輝かせる前のベルモンドの胸キュンな存在感もぜひフィーチャーしてみていただきたいと思います💛

「薔薇のスタビスキー」
© 1974 STUDIOCANAL – Nicolas LEBOVICI – EURO INTERNATIONAL FILMS (Italie). Tous Droits Réservés.

ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3

9月2日より新宿武蔵野館他全国絶賛公開中です。

4Kで再発見するウォン・カーウァイと、香港の現在地/Cinema Discussion-46

「天使の涙」© 1995 JET TONE PRODUCTIONS LTD. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

新作映画を複数の視点からとらえ、映画評論の新しい手法を考えようとしてスタートしたセルクル・ルージュのシネマ・ディスカッション。
第46回は、旧作と新作をコンビネーションして、香港を見つめます。
90年代以降香港を代表する映画作家となったウォン・カーウァイ作品の4Kデジタル修復版特集上映と、現在の香港の状況を見つめるドキュメンタリー作品『時代革命』、『Blue Island 憂鬱乃島』を取り上げます。
ウォン・カーウァイ作品は『WKW4K』というタイトルで、出世作『恋する惑星』から、『天使の涙』、『ブエノスアイレス』、『花様年華』、『2046』までの5本です。
今回も映画評論家川口敦子と、川野正雄の対談形式でご紹介します。

「ブエノスアイレス」
© 1997 BLOCK 2 PICTURES INC. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

★ウォン・カーウァイ(以下WKW)自らスクリーン・サイズや音声にこだわりつつ修復作業にあたったという5作品の特集上映ですが、まずはミニシアター・ブームを支えた90年代から00年代の彼の映画をどんなふうに見ていましたか? 

川口敦子(以下A): WKW以前の香港映画というと、個人的にはこの仕事を始めて間もなくの頃、映画ファン雑誌で大人気だったジャッキー・チェンのクンフー・アクションがあって、香港に最初に行ったのもその関連のファンの集いを取材するものだったりしたんですね。ベルモンドとも通じる捨て身のアクションとブルース・リーとは一味違うお茶目なキャラクターで独自の境地を啓き、また監督としても侮れないものがあったチェンでしたが、ファンになるというのとはちょっと違ったところから距離をもって眺めていた、そんな気がします。もちろん同時期には台湾、中国映画の新たな作家たちへの注目もあって、その流れの中でアン・ホイの『望郷』とか香港ニューウェーブの動きにも注目する感じでしたね。ちょうどその中心的な存在だった面々が今、改めて集って香港の変遷をたどりつつ撮ったオムニバス『七人樂隊』もこの秋公開されます。WKWと縁の深いパトリック・タム、タランティーノ絶賛の『友よ風の彼方に』のリンゴ・ラムの遺作とかもあってぜひこちらもご覧くださいなんですが、話を戻すと、WKWの前におおっと惹き込まれたのがジョン・ウーの『男たちの挽歌』で、試写を見て勇んで帰って当時、一緒だったタイレルコーポレーションの面々にこれはみんな見た方がいい!! って、いつもはあまりそういうこといわない方なんですが(笑) お薦めしたのを覚えてます。いわゆる香港ノワールの出現でしたね。ここで香港映画にぐっと気持ちが近づいた、それこそメルヴィルにも通じるクールを、きめきめすぎの熱さで迷いなく消化する世界には往年の日活アクションを見る時とも似たちょっとやらしく斜に構えた愉しみ方、どこかでキッチュを愉しむっていうのかな、そういう部分もありましたね。で、『欲望の翼』でいよいよWKWが登場したわけですが、香港ノワールをめぐる今いったちょっと斜に構えた称賛に近いようで、もう少し真正面からいいなあと、それはあの頃、文化屋雑貨店がみつけてくるものをちょっといいなと思うようなレトロとキッチュとエスニック、それに英国の香りもさらに混交したような香港60年代の風景というのか、空気感というのか、そこにくらりとなったんだったと思います。で、90年代になると渋谷のミニシアターでロングランする『恋する惑星』とか『天使の涙』とか”おしゃれ″なWKWってもてはやされたりしましたけど、そこは正直いうと冷めた目で見ていた部分もあったかもです。映画としての面白さという点では、そして個人的な好きの気持ちとしても『欲望の翼』『花様年華』『2046』の60年代香港、これに『グランド・マスター』も加えた所が私の好きなWKWなんだなあと改めて正直な気持ちで振り返るとそんなことを感じてます。

川野正雄(以下M):今回上映の作品で言うと、『2046』以外は、全て見ていました。『花様年華』以外は、公開時劇場で見ています。『恋する惑星』『天使の涙』は、3回目の鑑賞になりました。
今回まとめて見る事で、作品の前後のつながりが初めて認識でき、WKWのテーマ性を改めて理解できました。
私が最初に見たのは『恋する惑星』で、渋谷のシネマライズで見た時の衝撃は、今でもよく覚えています。WKW、トニー・レオン、金城武、フェイ・ウォン、クリストファー・ドイルとの初めて出会った映画でもありました。香港という舞台に、俳優、音楽、映像がセンスの良いコンビネーションで融合し、なおかつエモーショナルな気分にさせてくれる映画との出会いは衝撃的でした。今でも自分の中ではオールタイムベスト10に入ってくる程好きな映画です。
その後のWKW作品は、段々とダークな面が強くなり、とっつきにくさもあったのですが、常に見たい監督です。
『ブエノスアイレス』は当時はゲイの愛欲シーンがハードで、ちょと苦手な映画だったのですが、改めて見ると『真夜中のカーボーイ』的なロードムービー性も含めて、この作品の魅力を理解する事が出来ました。
『2046』は、多分タイミングを逸しただけだったのですが、色々言われたキムタク出演シーン含めて、とても良かったです。やはり『花様年華』との一気見をお勧めしたいです。
敦子さんお薦めの『欲望の翼』は、『恋する惑星』公開後の再上映で見たと思うのですが、残念ながら記憶がほとんどありません。

花様年華」© 1994 JET TONE PRODUCTIONS LTD. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

★今回のレストア・バージョンを見て。当時の印象はどのように変わりましたか?
あるいは変わりませんでしたか?

M: 先ほども言いましたが、『ブエノスアイレス』は、大きく印象が変わりました。
ゲイ映画では『ブロークバック・マウンテン』も好きな作品ですが、これも台湾のアン・リー監督作品なので、『ブエノスアイレス』の影響もあったのかなと、勝手に妄想してしまいます。冒頭のシーンからうまく作品に入れなかったのですが、今回はすんなり入っていけました。これは自分の感性が、ようやくWKWを受け入れられるようになったのかなと思います。
『天使の涙』も、当時は金城武のシーンなどが、ゴチャゴチャした印象だったのですが、今回見て、『恋する惑星』からの流れ含めて再認識でき、良かったです。
海底トンネルをバイクで疾走するシーンや、レゲエ的な曲含めて、この映画の魅力も再認識できました。
『恋する惑星』は、デニス・ブラウンのレゲエをジュークボックスでかけていた事は、全く忘れていました。それだけママス&パパスとフェイ・ウォンの歌のインパクトが強かったのだと思います。
香港は全くレゲエ文化のない地域なので、90年代WKWがレゲエを使っていた事は、すごくチャレンジだったと思います。
すごく音楽に詳しい香港人でも、ボブ・マーリィくらいしかわからない人が多かったです。
『2046』『花様年華』を通して感じるのは、恋愛を軸にエゴイズムや哀しみを描いていると思うのですが、描き方が乾いているんですよね。愁嘆場的な描き方ではないので、ダイレクトに共感を呼ぶという感じではないのですが、ジワっとくる感情の揺れが、WKW独特のリズムで描かれています。これは『恋する惑星』の時とは大きく違う手法で、『天使の涙』から徐々に使われているように感じます。

A: 好きという部分でいえば上記の作品がやっぱり変わらず好き。それに『ブエノスアイレス』も初公開時は映画の仕事を少しお休みしていた時で、映画を見ることそのものを少し遠ざけていたほんの少しの間ですが、そういう時期だったので、それでも見たんですけど上の空なところがあったんだなと、今回、レストア版を見て、こんなにいいんだと思った次第です。ですが、最初に見た時にもチャン・チェンの位置が面白いなと、最後の方の台湾の高架線の駅に入っていく電車内からの視界の乾いた涼やかさが胸に迫る感じは今回も変わらずあって、で、その感じはベルリンの高架線に乗ってる時の視界とも通じる気がして、WKWってヴェンダースをどう思ってるのかなあ――と、以前、『天使の涙』がベルリン映画祭に出た時、共同取材した時にもちょっと訊いたんですがもひとつはぐらかされちゃって、だけど『2046』のホテルの屋上の看板と人の位置、バランスとか『ミリオンダラー・ホテル』を彷彿とさせませんか? 
 なーんてそれはともかくレストア版でスクリーンサイズにもこだわっているので、やはりきちんと映画館の大画面で見なくちゃなあと、思っています。

「2046」© 2004 BLOCK 2 PICTURES INC. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

★新旧バージョンを目にした今、改めてWKW映画の魅力はどんな所にあると感じましたか?
 
A: いろいろあるんですが、今回見直して、改めてスターの見せ方がうまいなあと感じ入りました。そこにわくわくさせられますよね。もちろん香港、中国、台湾のスターたちの底力ということでもあるんでしょうが、トニー・レオンのポマードで固めた髪型の時のなんともいえない色気、昭和の映画界のスターたちが漂わせていたような、銀幕にこそ似合う軽すぎない佇まいとか、やっぱりいいなあと惹き込まれました。女優達も同様に映画スタアの素敵を輝かせる、チャン・ツィーもコン・リーも他の監督作でのよさとは一味違う艶やかさ、艶めきで視線をくぎ付けにしてくれますよね。脇を固めるスー・ビンラン、レベッカ・パンと演技もですが顔そのものの選び方もうまいなあと思います。
 あと、やはり『欲望の翼』『花様年華』『2046』の同じ名前を持つ登場人物の重なりを追って小説の大きな世界を完成させていくような所も魅力的です。音楽、そして撮影、衣装、美術といった視覚面の充実もさることながら脚本家から始めたWKWの物語する力というのもまとめて見直すと今更ですが見逃せない監督としての強みだと感じました。

M: 今回強く感じたのは4点ですね。
まず俳優がとても美しく撮れている事。これは敦子さんの意見に同じくです。
『花様年華』のトニー・レオンとマギー・チャンは特にすごいなと思いました。
次に土砂降りが大きなシークエンスになる事。これもまとめて見た故に感じた事です。
やはり音楽の素晴らしさです。アジアの監督では、最高に音楽の使い方がうまいのではないでしょうか。
そしてクリストファー・ドイルの映像の素晴らしさです。ある種作り物〜未来社会的な構図の中での閉塞感のあるドラマ。これがWKWの世界だなと、強く感じます。どっぷり音楽と映像でWKWの世界に引き込まれました。

「恋する惑星」© 1994 JET TONE PRODUCTIONS LTD. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

★1997年香港の中国への変換を前にした時代の『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』には”トランジットの感覚″、乗り換え地点にあるような香港という感覚が底に響いているように思いますがいかがでしょう? またその節目を通過した後の『花様年華』『2046』には、失われた時空としての香港を追憶する感触があるようにも思いますが、WKW映画の香港に対する思いに関してはどんなふうに見てきましたか? また今改めて見ると、その部分どんなふうに感じられますか?

A:まさにですね。返還を控えた90年代の映画には独特の切迫感があったと思うし、60年代を舞台にした3部作には失われた時を求めてといった、色褪せた絵葉書を見るような懐かしさ、切なさがあって、そういうことをおもってよくよく見直してみるとWKW映画ってけっしてかつてそう見られていたような”おしゃれ″映画というのではなく、その底には深い歴史感覚が響いている、その噛み応えもきちんと評価したいですよね。

M:『花様年華』『2046』からは、60年台の香港の魅力を感じました。ジャン=ポール・ベルモンドの『カトマンズの男』も当時の香港で撮影されていますが、今の香港にはないエキゾチックな魅力を、この2作品からは感じましたし、敦子さんの言うトランジット感もありますね。そして確かに映像を切り取ると、絵葉書になりそうです。
私自身は1980年代以降何回も香港を訪れ、2010年には住んでいた時代もあったので、香港への思い入れは人一倍強い人間です。
ある程度香港の土地勘がある中で見ていると、WKW独特の香港の切り取り方が見えてきます。それは場所であったり、雑踏であったり、市民であったりします。一番今回見た中で香港らしいなと思ったのは、『恋する惑星』でいつもトニー・レオンが麺を食べている店です。すごく香港の空気を感じるシーンでした。
『恋する惑星』を見て、香港のチョンキーマンションや、ランカイフォンのエスカレーターに行った事も思い出しました。チョンキーマンションは、インド料理屋が美味しく、在住時はよく行きましたが、香港人には敬遠される場所でもありました。
こういう香港の日常の少しダークな側面の切り取り方が、WKWはすごくうまいと思います。そしてそこには香港への様々な思いが詰まっているのではないでしょうか。
私がカンヌ映画祭に行った際、オープニング上映が、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』でした。上映を見た後、バスで山中の打ち上げパーティ会場に連れて行かれたのですが、今思い起こすと幻想のような体験でした。
この映画は英語でアメリカで撮影されていたのですが、ジム・ジャームッシュ作品に置き換えられるような印象で、自分自身は香港で広東語で撮るWKW作品の方が率直に好きだなと思いました。
そういえばこの時のカンヌ映画祭で、フジテレビのパーティに行ったら、WKWと木村拓哉さんが対面していました。当然予めセッティングされていたと思いますが、WKWが結構そっけない対応で、そんなものなのかな〜と思いながら眺めていました。

「時代革命」(C) Haven Productions Ltd.
「Blue Island 憂鬱乃島」© 2022 Blue Island project

★前のQと関連して香港の今を睨み、そのアイデンティティを考える2本のドキュメンタリー『Blue Island憂鬱之島』『時代革命』が同時期に、公開されていますが、この2本については? 

A:2本のドキュメンタリー(『乱世備忘 僕らの雨傘運動』のチャン・ジーウン監督の意欲作『Blue Island憂鬱之島』は単にドキュメンタリーと呼んでしまうとちょっと違う、フィクションと記録の混交に注目したい一作でもあるわけですが)を見ると、WKW映画で見た都市の顔、あ、あそこだと懐かしい所があるだけに、今の香港の人々が直面している危機が他人事でなく迫ってくる。ってあまりにもナイーブな言い方になってしまいますが、他人事ですませず、発信された訴えを受け止め少なくとも考えてみること、世界がどんどん危ない方に進んでいるような今だからこそ、見て、感じて、考えたいドキュメンタリーだと思います。

M:私は『時代革命』しか見れていないのですが、衝撃的です。自分の馴染みのある場所、例えば油麻地駅構内の地下鉄での暴行、信じられません。私は香港の人たちは、せっかちですが、穏やかで、比較的のんびり暮らす人が多い印象を持っています。
冒頭朝から香港人がデモに集結していて驚くシーンがありますが、本当に香港人がこんなに怒り、行動する事が考えられません。それ以上に暴力的な警察の対応も、現代で私たちが好きだった香港で起きている事が許せない気持ちになりました。
日本のテレビで報道されている事が、ごく一部の状況であった事もよく理解できます。
行動する若者に、古くから香港に住んでいる白人がキレるシーンがありました。これはこれでまた立場が違った見方として、理解できるものでした。
しかし今や多くの欧米企業は、アジアの本拠地をシンガポールに移し、経済的にも香港の意義は弱まっていると思います。
改めてコロナが落ち着いたら、再度香港に行き、自分の目で変化を確かめたいと思いました。

「天使の涙」© 1995 JET TONE PRODUCTIONS LTD. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

★WKWの今後、そして香港映画の今後をどのように占いますか? あるいはどんなふうに期待していますか?

A:WKWには連続ドラマの新作の企画もないわけではないようですが、なかなか確かな情報が判らなくて、期待が余計に募ります。ハヤカワから今年の1月に原作の翻訳が出た「繁花」は「戦後、文革、高度成長――歴史に翻弄され激変していく上海を生き抜く三人の少年たちの過去と今をユーモアと哀愁たっぷりに描く大河小説! 全篇上海語の会話を関西弁で翻訳する野心的な試みが結実! ウォン・カーウァイ監督ドラマ化決定の現代中国文学の精華。」ってアマゾンでは紹介されているので、待ってみましょう(笑)
『花様年華』もそうですが5歳の時に上海から香港にきたWKWにとって上海人コミュニティというのが大きな関心事でもあるんですね。それだけに期待大です。

M:90年代に比べるとWKWの制作ペースが落ち、2010年代は『グランド・マスター』だけですよね。『グランド・マスター』も、私が香港に住んでいる時から話題でしたが、かなり時間がかかりました。ドラマもいいですが、映画でWKWは見たいですね。
映画制作が決まらないのは、何らかの事情もあると推察しますが、まだまだ精力的に作品を撮って欲しいですね。香港映画に関しては、最近の作品を追っていないので、コメントは難しいですが、メインランドの監視が強くなり、その影響があるのかないのか、気になります。

「2046」© 2004 BLOCK 2 PICTURES INC. © 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

映画『時代革命』
ユーロスペースほか全国順次公開中
監督:キウィ・チョウ
配給:太秦  2021|香港|カラー|DCP|5.1ch|158分
(C) Haven Productions Ltd.

『Blue Island 憂鬱乃島』
全国順次公開中。

WKW 4K 特集上映
8月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開中。
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『恋する惑星』アメリカ版オリジナルポスター

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