Vintage New Wave Movement/Halmens X with Ready Steady Go!

ジョリッツのステージ  撮影/田口るり子
ジョリッツのステージ  撮影/田口るり子

80年代初頭、創世記だった日本のニューウェーヴシーンにおいて異彩を放っていたサエキけんぞうさん率いるハルメンズ。
伝説のアルバム『ハルメンズの20世記』発売35周年記念プロジェクトであるハルメンズXが、今年スタートした。
ハルメンズXプロジェクトのコンセプトは、Vintage New Wave。
パンク直後1980年代に英国から世界を席巻したニューウェーヴムーヴメント。
そこから35年以上経過した現代の視点で、改めてニューウェーヴに、ハルメンズXプロジェクトが挑戦をする。
そのハルメンズXに参加しているロックバンド、ジョリッツの衣装スタイリングを、READY STEADY GO!と、セルクルルージュが協力して担当する事になった。

Ready Steady Go!は、1985年のオープン以来一環して英国を中心にしたROCKなスタイルを提案してきたショップである。
ジョリッツは、”都会の中の野性”をテーマにしたサエキけんぞうさんの新ユニットで、ハルメンズの分身バンド的な存在。
メンバーは、サエキけんぞうさん(Vo)と泉水敏郎さん(Dr)のハルメンズオリジナルメンバーに加え、吉田仁郎さん(G)に、オカジママリコさん(Ba)、亀さん(G)の若手ミュージシャンが参加している男女混成5人組だ。

ジョリッツコーディネート
ジョリッツコーディネート

コーディネートをスタートするにあたり、サエキさんとは、バンドのコンセプトについて、何回か意見交換をした。
ジョリッツを貫いているコンセプトは、グラム〜パンク〜ニューウェーヴという1970年代中盤〜1980年代中盤までの音楽シーンの疾走感であり、今の時代と当時の音楽シーンとの歴史的な接続だという点であった。
歴史的な接続の表現というのは、正にVINTAGE NEW WAVEというコンセプトの具現化である。
そういったサエキさんのコンセプトやイメージは、70年代のような音楽とファッションの密接な関係を再構築したいというセルクルルージュのコンセプトとも合致したので、衣装面のビジュアル的なアウトプットでも表現するお手伝いを、今回はさせて頂くことにしたのだ。

NEW WAVEが生まれた80年代初期のロンドンに目を転じると、バウワウワウや、ネネ・チェリーのいたRIP RIG+PANIC、FUN BOY THREE+BANANARAMAなどの男女混成バンドや、SLITSなど女性バンドが台頭してきた時代だった。
ロックやファンク、ヒップホップ、ラテン、ジャズなど、音楽ジャンルや、男女、白人黒人混合など、既成の世界では存在していた様々な垣根が消えて、個々のエッセンスが混ざることで、新たな化学反応が起き、NEW WAVEは、大きなうねりとして形成されていった。
ハルメンズXとReady Steady Go!がコラボレーションすることで、Vintage New Waveをテーマにした何らかの化学反応が起きる事を、今回は期待している。

ジョリッツのスタイリングは、8月3日代官山晴れたら空に豆まいてで開催されたハルメンズXプロジェクトのキックオフイベント「ハルメンズXの予言」でのライブ衣装コーディネートからスタートした。
今回READY STEADY GO!でコーディネートするのは、「ハルメンズXの予言」に続いて、9月21日に発売されるハルメンズXの新作『35世紀』のアーチスト写真及び、11月16日渋谷クアトロで開催されるハルメンズの最終章イベント「ハルメンズXの伝説」の3ルック。
コーディネートするにあたり、ジョリッツの男女混成グループというバンド編成も、非常に重要なエッセンスであった。
ジョリッツには二人の女性ミュージシャンがおり、彼女たちのスタイルを固めることで、表現できる範囲が、非常に広域になったように思える。

今後3回のコーディネートの詳細を、セルクルルージュでは順次紹介をさせて頂く予定である。

サエキけんぞうさん。 帽子とジャケットは仏製HOMECORE。
サエキけんぞうさん。
帽子とジャケットは仏製HOMECORE。

サエキさんのコーディネートは、エルビス・コステロやジョー・ジャクソンをイメージして、コンポーザーとしてのバンマスらしいジャケットスタイル。
幾何学模様の帽子とジャケットは、フランスのHOMECORE製。Tシャツは、ハルメンズを彷彿させるオリエンタルなイラストの英国製Low Molloy。
パンツは、READY STEADY GO!の最近の定番ブランドになっているスウェーデン製デニムDr.Denim。サエキさんのデニムは、写真ではわかりませんが、お尻のポケットの位置が低いタイプで、シルエットが美しいもの。
Dr.Denimはストックホルム発のブランドで、細身のスキニージーンズで世界的に人気が出て、ワン・ダイレクションのメンバーなども愛用をしているデニムブランドだ。
デニムの足元は、LAWLER DUFFYのコンビのスリッポンで、ちょっとポール・ウェラーぽい組み合わせに。

幾何学模様の帽子とジャケットに、オリエンタルテイストのTシャツというかなり際どいコーディネートになったが、サエキさんは長身痩躯ということもあり、見事に着こなされている。
全体のイメージは、80年代中期のパンク以降~ニューウェーヴ降盛期。ロンドンファッションが華やかだった時代~READY STEADY GO!のオープンした時代の正にVINTAGE NEW WAVEの系譜である。

サエキさんのライブ  撮影/田口るり子
サエキさんのライブ  撮影/田口るり子
泉水敏郎さん。PUNK ROYALタンクトップ。
泉水敏郎さん。PUNK ROYALタンクトップ。

ハルメンズ~ヤプーズ、東京ブラボーなど伝説的なバンドで活躍し、日本のニューウェーブ創世記のレジェンドともいえる泉水敏郎さん。
泉水さんのポイントは、コペンハーゲン発のパンクブランド、PUNK ROYALのタンクトップ。体脂肪率10%という鍛え抜かれた泉水さんの肉体と、パンキッシュなタンクトップのコーディネートは、泉水さんのヒストリーを象徴するアイコンと位置づけた。
PUNK ROYALは、パンクテイストですが、F1ドライバーのルイス・ハミルトンが愛用するなど、ヨーロッパではセレブレリティにも好まれているデザイナーブランド。
トップスとして、黒のHOMECOREのシャツを合わせ、ボトムはサエキさんと同じDr.Denimのスキニータイプ。シューズは今では貴重なREADY STEADY GO!のオリジナルチャッカーブーツ。
泉水さんのコーディネートは、NEW WAVEの兄貴分のような大人のパンクロッカーがコンセプトだ。

泉水さんのステージ撮影/田口るり子
泉水さんのステージ撮影/田口るり子
吉田仁郎さん
吉田仁郎さん

ギタリストとして、ライブ演奏の中心的存在でもある吉田二郎さん。普段は全く違うタイプの洋服を着ている吉田さんだが、今回は1970年代中期の黒人ファッションと、グラムロックをコンビネーションしたスタイルでコーディネートした。
シャツはブラジルの一押しブランドであるSOUL SEVENTY。
スライ&ザ・ファミリーストーンのようなブラックロックをイメージするニットシャツですが、珍しい左右非対象のデザインになっている。
パンツはDIZHUMのグラムロックな雰囲気のストライプ。シューズはMr.ZEROのスリッポン。
上下共に70年代を象徴するようなパターンに、現代のエッセンスが加味されたデザインで、正に歴史を接続したようなスタイルだ。
1970年代中期、パンク前夜の混沌とした音楽シーンの鼓動を、吉田さんの衣装から表現していきたい。

吉田さんステージ 撮影/田口るり子
吉田さんステージ 撮影/田口るり子
オカジママリコさん
オカジママリコさん

華麗な動きでステージ上でベースを弾くオカジママリコさんの衣装は、上下共に吉田さんと同じブラジルのSOUL SEVENTY製。
RIO五輪開会式を見て、ブラジルのファッション力を感じられた方も大勢いらっしゃると思う。
情熱的な南米に相応しく、華やかな色使いと、大胆なデザインは、ブラジルならではの感覚である。
バンドのコンセプトでもある野性を感じさせるデザインであり、スリッツやネネ・チェリーなどのニューウェーヴ系女性ミュージシャンにも相通じるスタイルだ。
足元はこれもREADY STEADY GO!の定番ブランドである6876のホワイトのフラットシューズ。
6876は、90年代にロンドンのDUFFER of ST GEORGEから枝分かれしたブランド。
ブランドネームの由来は、68→1968年パリ革命、76→1976年ロンドンパンクと、非常にコンセプチュアルで、我々のテーマとも近いスピリッツだ。

マリコさんのステージ 撮影/田口るり子
マリコさんのステージ 撮影/田口るり子
亀さん。
亀さん。

ステージ上で一番激しく動き回るのが、ギタリストの亀さん。
小柄ですが、ジョリッツの元気印よろしく、ハードにプレイする彼女のパフォーマンスに耐えられるよう、動きやすく、女性ロッカーらしい可愛さを持ったコーディネートを用意した。
Tシャツは、こちらもブラジルリオのブランドOi Studio。おじさんの顔がモチーフになっていますが、何故かTANAKAさんという日本人がモデルになっている。
コーディネートは、デニムのスカートに、グラフィックプリントのビニールブーツという亀さんがステージで動き回りやすいスタイル。
ビニールブーツは、アルゼンチンのグラフィックアーチストと、デザイナーのコラボレーションモデルというレアアイテム。
南米ブランドでまとめた亀さんのイメージは、1980年代に次々に登場してきたガールズニューウェーヴバンドだ。
どちらかというと、英国よりも米国のGO-GO’sや、B-52’Sをイメージしたちょっとポップなスタイルである。

亀さんのステージ 撮影/田口るり子
亀さんのステージ 撮影/田口るり子
マリコさんと亀さんのシューズ
マリコさんと亀さんのシューズ

今回のジョリッツのLIVEは、ジョリッツオリジナル曲と、ハルメンズナンバーを組み合わせた全8曲で構成されていた。
グラム〜パンク〜ニューウェーヴという70~80年代の英国ロックシーンの遷移を、サエキさん独特の味付けで料理したのが、ジョリッツサウンドの特質である。
テーマの一つである歴史的な接続は、サエキさん泉水さんというハルメンズオリジナルメンバーと、若手3人のミュージシャンとの緊張感を持ったセッションによって、ステージ上で具現化された。
オープニングはの『スワイプメン』は、ニューウェーヴ的なビートで刻んだサエキさんらしい今日性を持った視点の新曲。
『ラブ is ガービッチ』は、ロクシー・ミュージックの『Love is the Drug』のアンサーソング。
途中19歳のゲストボーカリスト帝子さんを交えて披露された『STAPトゥギャザー』は、何と小保方晴子さんと、彼女が大好きなビビアン・ウエストウッドがテーマ。ビビアンに、マルコム・マクラーレン、ジョニー・ロットン、更に彼女のショップLET IT ROCKなどの映像を背景に、”GO Vivienne!”というフレーズが炸裂するこの曲は、この日のLIVEのハイライトだった。

サエキさんと帝子さん 撮影/田口るり子
サエキさんと帝子さん 撮影/田口るり子

ジョリッツの新曲を含むハルメンズXのアルバム『35世紀』(ビクターエンターテイメント)は、9月21日発売予定。ゲストには鈴木慶一さんや野宮真貴さん、カーネーションの直枝政広さん、装丁画太田螢一さんと、楽しみな作品である。
その中で使うジョリッツのアーチスト写真では、1970年代中期のビビアン・ウエストウッドのショップ、LET IT ROCK~SEX時代のデザインに大きな影響を与えたジョン・ドーヴ&モリー・ホワイトのTシャツをコーディネートした。
次回アルバム発売時に、またコーディネートを紹介をさせて頂く予定である。
又Ready Steady Go!とハルメンズXのコラボレーションアイテムも開発予定である。

熱いジョリッツのパフォーマンス 撮影/田口るり子
熱いジョリッツのパフォーマンス 撮影/田口るり子

現在READY STEADY GO!の、オーセンティックともいえるモッズ系の商品は、吉祥寺のショップYOUNG SOUL RABELSで、取扱中。
Chrome,Hudsonのシューズや、Merc、Gabbici、Farahなどの、オーセンティックなモッズ系ブランドを販売している。
Ready Steady Go!は、10月1日〜16日及び12月2日〜4日まで、高円寺のアンダーグランドなカルチャースポットであるGARTER GALLERYに、ポップアップストア READY STEADY GO! Vintage New Wave Storeを、オープン予定である。
ジョリッツのコーディネートに使ったブランドも、一部販売する予定だ。
詳細は又お知らせ致します。
商品に関するお問い合わせは、下記までお願い致します。
info@lecerclerouge.jp

ジョリッツ8月3日のステージ撮影/田口るり子
ジョリッツ8月3日のステージ/撮影/田口るり子

MIX CLOUD LCR DISCO-30

関東地方もようやく梅雨明けしたようです。
今回は夏に気持ちよさげな曲で混ぜています。
下記LCR Disco-30のリンクボタンを押して頂くと、

MIX CLOUDのページにジャンプします。

楽しんで頂けたら幸いです。

LCR Disco-30
shuroom

  1. Woke Up Laughing / ROBERT PALMER 1980
    2003年9月26日Parisにて心臓発作で急死してしまったROBERT PALMERが、1980年にリリースしたアルバム『Clues』より。アルバムは『Cars』のヒットを放ったUKのGARY NEWMANも参加するなど、それまでのソウルフルな路線でなくテクノ、ニューウェーヴ寄りに方向転換した印象ですが、このように息抜き的ないい曲が入っているのも彼のアルバムの魅力のひとつです。

  2. Give Me / I LEVEL 1982
    UKのエレクトロ・ファンクな3人組のデビュー12inchシングル。どこかホッコリとした雰囲気あるこの曲は数多くのHip Hopアーティストにサンプリングされている人気のダンス・クラシックです。

  3. Tossing & Turning / WINDJAMMER 1984
    ニューオリンズ出身のライトファンク・グループのセカンド・アルバム『Windjammer 2』からの12inchシングル。夏らしいAORな雰囲気も併せ持ったモダンソウル・ダンサーです。

  4. What’s It Worth (instr.) / LOTTI G 1982
    マニアックな80’s ブギーファンにはお馴染みなスウェイ・ビートなクラシック。キュートなヴォーカルも魅力的なのですが今回はB面インストを選んでいます。

  5. Gotta Take Your Love / GAME 1982
    イタリアのディスコ・チームGAMEの、再発もされたアルバム『Gotta Take Tour Love』からの同タイトルの12inchシングル。バックのカッティング・ギターやベースなどのインスト・パートや、後半男女掛け合いのシャウトするヴォーカルのファンキーさがたまりません。

  6. Fancy Dancer / TWENNYNINE with LENNY WHITE 1980
    LOFTのDAVID MANCUSOも愛した12inchロング・ヴァージョン。MILES DAVISの『Bitches Brew』やCHICK COREAの『Return to Forever』でドラムスを担当したLENNY WHITEが1979年に結成したバンドのヒット曲です。

  7. Wired for Games / C-BRAND 1982
    デトロイト出身のマイナーバンドC-BRANDによる、DAZZ BANDのMICHAEL CALHOUNプロデュースのレアなブギー12inch。ちょっと妖しい雰囲気のバックに若々しいヴォーカルとメロディがDeepでクセになります。

  8. S.O.S. / MASAKI MATSUBARA 1984
    今年2016年の2月に亡くなられた、福井県出身の日本を代表するフュージョン・ギタリスト松原正樹が、1984年に全米及びヨーロッパでリリースした12inchシングル・ロングヴァージョン。ブリージンでスムースなギターは特にヨーロッパで人気が高かったようです。

  9. Town / MINAKO YOSHIDA 1981
    ジャパニーズNo.1ソウルシンガー、吉田美奈子の1981年リリースのアルバム『Monster Town』からの12inchシングル、Alfa Recordsオリジナル盤。当時日本最高峰の、演奏もアレンジも歌もとにかく最高です。ちなみに彼女のHPによると、本人はこの『Town』の12inchについて、自身の承諾無しでたびたびリリースされる海外などのレーベルに怒っておられ、その対策として2016年10月1日正式にこの12inchを再販されるとのこと。もちろん買います!

  10. Best Love / ROSE ROYCE 1982
    1982年人気アルバム『Stronger Than Ever』の中では、沖野修也がカバーした『Still in Love』が有名ですが、Norman J. Whitefeldがプロデュースしたこの『Best Love』も高揚感たっぷりの素晴らしいブギー・チューンです。この12inchもアルバムより若干長いロング・ヴァージョンを収録しています。

  11. Shout / MILES DAVIS 1981
    1981年、長き沈黙の後に発表されたMILE DAVISのアルバム『The Man with The Horn』ですが、12inchシングル化されたこの『Shout』は「フュージョンすぎる!」とファンからはあまり評判よくありませんでした。今聞いてもシンプルでストレートな演奏はダンス・ミュージックとしては合格点ですが、MILESでなくとも成立する曲ではあります。

  12. Hold Me Tight / ROBERT WHITE 1985
    EARTH WIND & FIREのパーカッションRALPH JOHNSONプロデュース、カリフォルニアはハリウッドのLighthouse Studioで録音された西海岸らしい爽やかな楽曲。ALAN IWAHARAという日系人による琴の音も入ったアーバン・ライト・ブギーです。

  13. Rainforest / PAUL HARDCASTLE 1984
    ベトナム戦争でアメリカ兵の平均年齢が19歳だった事を歌ったショッキングな、ナナナ『19』が世界的ヒットとなったPAUL HARDCASTLEの、その一つ前にリリースした12inchシングル。当時様々なシーンでBGMとして使用されていたので聞き覚えのある方も多いかと思います。エレクトロですがどちらかと言うとフュージョンに近く、タイトル通り熱帯雨林を連想させる南国感たっぷりの気持ちのいい曲です。

人はそれと知らずに、必ずめぐり会う。たとえ互いの身に何が起こり、どのような道をたどろうとも、必ず赤い輪の中で結び合うーラーマ・クリシュナー (ジャン・ピエール・メルヴィル監督「仁義」*原題"Le Cercle Rouge"より)