Cinema Discussion-12で取り上げたフランス映画『EDEN/エデン』について、『FLYING BODIES』の中野裕之監督から寄稿頂きました。
情報無しに映画を見る。
DJライフを描いたフランス映画。
映像のタッチは黒が締まっていなくて優しいトーンのフランス映画調。
そしてフランス映画だから無駄に着替えで女優の裸を見せる。
そういった定番が過ぎさって48分目くらいでようやく
何を描きたいのかってシーンが出てくる。
その次は1時間27分あたりかな。
クラブで音を楽しむっていう経験がない人には
なかなかわからないだろうけど、目をつむって
そこで今まさしくミックスされている音楽の渦に入り込んで、
ビートキックとローベースが
うなりをあげて身体を動かすグルーヴがやってくるような
事をこのEDENは表現している。
音を楽しみ、音に熱狂してダンスする
これがクラブの醍醐味。
だからこの映画は目をつむってもいい。
音がすぐれた映画だから。
コカイン中毒とかっていう映画で定番の役も
昔のロックじゃあるまいし、イマドキの人は
そんなんやらないよって感じだけど、映画の
主人公の設定が90’Sくらいからやってるので、
まあ、しようがないかもね。
ダフトパンクのトマたちが来日して僕が始めて会った時は
21歳だったな。
エマニュエルがナカノ、アニメを作りたいって
言ってるんだって青い澄んだ瞳で言い、
横に座っている若い2人は松本零士に会いたいと言った。
とてもクレバーな印象だった。
EDENにもダフトパンク役が出てくるけど本人たちがどうか
僕は顔も忘れたしわからないなあ。
まあ、再現映画だから役者だろうな。
好きなことをやって迷惑かけなきゃいいんじゃないかな
借金するならやめたまえ。
てなこととかさ
当たり前に重要だよ。
Apple musicが始まり、音楽業界とアーティストたちが
膨大な影響を受けて衰退していくであろう現状にあって
アナログレコードでDJをするという時代の価値観の
ほうが数千倍よかったでしょと僕は思うのだった。
『EDEN/エデン』
9月5日より新宿シネマカリテ、大阪ステーションシティシネマほか全国順次公開中