オリジナルサバンナバンドのポストで、今野雄二さんや「華麗なるギャッツビー」の話題が出たので、ロクシー・ミュージック=ブライアン・フェリーについて少し。
今野さんのリコメンするアーチストは、ある時期常に自分の中の指標だった気がするが、最たるものは、やはりロクシー・ミュージックだ。
僕が初めて動くブライアン・フェリーとロクシー・ミュージックを見たのは、このNHK YOUNG MUSIC SHOWで放映したストックホルムの76年ライブである。
それまではレコードを聴きながら、勝手なイメージを膨らませていたが、このクネクネ動くアーミールックでヒゲのブライアン・フェリーは、それまで密かに持っていたイメージを覆すものだった。演奏もラフでワイルドだし、パフォーマンスもそれまで見た事のない程強烈だった。
その1年後、ブライアン・フェリーはソロで待望の初来日を果たした。3回公演があったうちの2回を見たが、会場はアーミーぽいシャツにネクタイをねじり込むファッションの男性が多かった。いきなり黒の革パンでハーモニカを吹きながら登場したブライアン・フェリーに、ここでも圧倒された。
この来日時のスタジオライブが、同じくNHK YOUNG MUSIC SHOWで放映されたが、前述のストックホルムライブとこれは放送のコンプリート版なので、お時間のある時に、是非見てみて頂きたい。70年代の最もアクの強かった時代のブライアン・フェリーが満喫出来ると思う。
ロクシー・ミュージックで特筆すべきスタイルの一つが、アルバム「サイレン」にコスチューム=アンソニー・プライスと、ヘア=スマイルをクレジットした事だ。今では当たり前のスタイリングスタッフのクレジットだが当時は皆無で、音楽とファッションの関係性に強く拘ったブライアン・フェリーならではの快挙だった。
当時アンソニー・プライスのショップと、スマイルのヘアサロンは、ロンドンのキングスロードの外れ、今はビビアン・ウエストウッドのショップがある並びにあった。
アンソニー・プライスはオーダーのみのビスポークスタイルで、既製服は売らないという話を聞いていた。残念ながら僕がロンドンに初めて行った際には、もうショップは無かったが、スマイルは営業していた。その時聞いた話だと、もうブライアン・フェリーは来ていないけど、クラッシュのミック・ジョーンズと、ポール・シムノンの二人は常連だという事だった。
近隣にはクラッシュ御用達のジョンソンズに、ロボット、さらにマルコム・マクラーレンとビビアンのワールズ・エンドがあった。ロクシーが全開だった70年代中期から、パンク/ニューウェーブの80年代に音楽もファッションもシフトチェンジしていた時代の話である。
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King Elvis
立川のシネマシティ2にて、1970年に製作されたエルヴィス・プレスリーのライブドキュメンタリー「エルビス・オン・ステージ」を、9月8日まで上映していますが、そのオープニング上映に行ってきました。
シネマシティ2は、スタジオと称する映画館の領域を超えたサウンドシステムを備えている劇場で、音楽系の作品を上映した場合には、都内随一の臨場感になっていると思います。
極上音響上映と題して、作品の内容に合わせたサウンドチューニングをしてくれるので、これまでもマイケル・ジャクスンの「This is it」やクイーン、ストーンズのライブフィルム、FATBOY SLIMのODS LIVEなどを、ライブ会場にいるようなサウンドで再現してきました。
「エルビス・オン・ステージ」は、長らく劇場では見る事が出来ませんでしたが、音楽業界の大先輩立川直樹さんプロデュースの元、今回は何とシネマシティが、劇場上映権を獲得しての上映になっています。
僕も久しぶりにこの作品を見ましたが、改めてKing Elvisこと、エルヴィスのシンガーとしてのスケールの大きさを感じることが出来ました。ロック、カントリー、ゴスペルから、70年代の時代的なトレンドにもつながるスワンプロックやソウルのエッセンスも取り入れながらも、全てがエルヴィス節になっています。この頃の派手な衣装や晩年の姿はデフォルメされて茶化される事が多かったですが、ここで見れるエルヴィスの歌手としての存在感は、改めて唯一無二のものだと実感しました。
このオープニング曲「Mystery Train~Tiger Man」の迫力を、是非ご覧下さい。