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1959年 東京生まれ。 以来東京に住み続けていますが、2010年1年間は香港に住んでいました。 長い間海外の文化から刺激を受けてきましたが、海外に一度住んだ事で、日本の良さを、改めて見直しています。 英国の音楽とスタイル、フランスの映画と車、暑い国の料理と日本の文学を好んでいます。 1987年以降P Picasso, 下北沢ZOO~SLITS、DJ BAR INKSTICK, Faiなどのクラブで、DJとして活動。 2006年以降DJは休止していたが、2016年より再開。 ファンデーションである英国音楽や、MODSシーンのイベントで、ルーツミュージックを中心にプレイしています。 現在UKファッションの老舗Ready Steady Go!のリブートプロジェクトを展開中。 Music: 60~70's Rock, Rare Groove, Rocksteady, Jazz Funk, Folk. Cinema: Roman Polanski, Jean Pierre Melville, John Cassavetes,Michelangelo Antonioni Style: READY STEADY GO! 6876,Duffer of ST George, YMC, FARAH Food: exotic food.モロッコ、イスラエルなどの料理。

Israeli Bistro Pink-Camila

シェフのマルセロさんと、マネージャーの麻由子さんご夫妻。
シェフのマルセロさんと、マネージャーの麻由子さんご夫妻。

セルクル・ルージュでは、音楽や映画だけではなく、食にもフォーカスをしていきます。
私達なりの視点で、お店や飲食に携わる仕事をしている方々を皆様に紹介していきますので、読んで頂いた方の食に関する選択肢が、少しでも増えれば嬉しいです。
1回目は、目黒通りにあるイスラエルビストロ、ピンクカミラです。
イスラエル(ユダヤ)料理は、都内に5〜6件しかないので、あまり馴染みがないかもしれません。また中東系というと、土着的なエスニック料理店を想像しがち(それも悪くないですが)ですが、このピンクカミラに入ると、ビストロというだけあって、洗練された雰囲気にまず驚かされます。まず目につくのが、カウンターの上にディスプレイされたイスラエルワインのラインナップです。またカウンターの上にはゴッホの絵がデザインされたウォッカが並んでいます。
美しくディスプレイされたイスラエルワイン。
美しくディスプレイされたイスラエルワイン。

シェフのマルセロさんは、イスラエル大使館などのケータリングサービスをやっていたのですが、要望が多く、2年前にこのビストロを開店しました。
マルセロさん自身はカナダのモントリオールとイスラエルの二つの文化圏で育ち、奥様でお店のマネージャーでもある麻由子さんともカナダで出会ったそうです。モントリオールといえば、カナダの中でもフランス文化が強い地域ですから、ビストロという業態になったのも、自然の成り行きかと思います。
マルセロさんの料理も、お父様のルーツであるアフリカ系と、お母様のルーツであるヨーロッパ系のエッセンスが、とてもうまくブレンドされています。
ユダヤ系の民族は、中東だけではなく、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど、世界各地に分散
している為、色々な国のエレメンツがミックスされて成熟しているのが、現代のイスラエル料理のようです。

イスラエル料理の前菜といえば、まずはこのディップセットです。マルセロさん手焼きのピタファと一緒に食べますが、お祖母様のレシピだというナスのディップのまろやかさが絶品です。最近はひよこ豆のディップ=フムスを作るレストランが、都内では多くなってきましたので、初めて行く方でも、食べやすいメニューだと思います。

ひよこ豆、ナス、トマトのディップセット。
ひよこ豆、ナス、トマトのディップセット。

もう一つイスラエル料理で割とポピュラーなのが、ひよこ豆のコロッケのようなファラフェルです。ピンクカミラのファラフェルは、コリーアンダーを使った特別なレシピで作られていますが、スパイしーかつクリーミーで、とてもやさしい味です。

イスラエルの代表的な料理、ファラフェル。
イスラエルの代表的な料理、ファラフェル。

今回初めて食べたのが、このタプリサラダ。クスクスみたいなタプリという麦と、イタリアンパセリをふんだんに使ったシンプルなサラダですが、何となく外国で食事をしている気分になります。

イスラエルの代表的なサラダ、タプリサラダ。
イスラエルの代表的なサラダ、タプリサラダ。

いつもメインで頼むのが、シャクシューカ。ピタファと一緒に食べる少しスパイシーな煮込み料理です。
スパイスと卵のコンビネーションが絶妙で、他の料理と同じように驚くほどまろやかに仕上がっています。
この他メインには熟成したエイジングビーフやシシカバブー、ラムチョップなど、豊富なお肉料理があります。

卵とトマトとスパイスを煮込んだシャクシューカ。
卵とトマトとスパイスを煮込んだシャクシューカ。

冒頭でも紹介したイスラエルワインのリストです。大使館から提供されたそうですが、ここではかなりの種類のイスラエルワインが揃えてあります。
イスラエルのワインの歴史は古く、モーゼの時代〜旧約聖書の紀元前2000年頃には、ワイン作りが盛んになっていました。その後宗教上の理由で19世紀までは積極的にワインを生産する事がなかったのですが、近年はワインの生産や輸出にも力を入れているようです。旧約聖書時代はローマに大量に輸出されていたそうですが、現代でもヨーロッパのワインには決してひけを取らないクオリティです。日本ではここでしか飲めない銘柄も、多くストックしています。

イスラエルのワインリスト
イスラエルのワインリスト

料理や飲み物も素晴らしいですが、お店の居心地が良いのは、マルセロさんと麻由子さんの明るいキャラクターに依る部分も大きいです。
ピンクカミラの魅力は、大人が落ち着いてエキゾチックな料理を楽しめる店であり、様々なゲストの嗜好、ヘルシーな食を好む方、肉をしっかり食したい方、スパイシーでエスニックな料理を好む方、アルコールを中心にタパス的な料理を楽しみたい方などに、柔軟に対応出来るメニューを用意してある点にあると思います。
これは、多様な文化がミックスされた生活環境の中から生まれたイスラエル料理の本質にも通じるものです。
また料理自体も洗練されていて、クセやアクが強くないので、イスラエルや中東系の料理が初めての方でも、食べやすいのではないかと思います。
Have a good time at Israeli Bistro!
ピンクカミラ
03-6417-9888
〒153-0064
目黒区下目黒1-5-16 本田ビル2F

Viva Roxy!


オリジナルサバンナバンドのポストで、今野雄二さんや「華麗なるギャッツビー」の話題が出たので、ロクシー・ミュージック=ブライアン・フェリーについて少し。
今野さんのリコメンするアーチストは、ある時期常に自分の中の指標だった気がするが、最たるものは、やはりロクシー・ミュージックだ。
僕が初めて動くブライアン・フェリーとロクシー・ミュージックを見たのは、このNHK YOUNG MUSIC SHOWで放映したストックホルムの76年ライブである。
それまではレコードを聴きながら、勝手なイメージを膨らませていたが、このクネクネ動くアーミールックでヒゲのブライアン・フェリーは、それまで密かに持っていたイメージを覆すものだった。演奏もラフでワイルドだし、パフォーマンスもそれまで見た事のない程強烈だった。
その1年後、ブライアン・フェリーはソロで待望の初来日を果たした。3回公演があったうちの2回を見たが、会場はアーミーぽいシャツにネクタイをねじり込むファッションの男性が多かった。いきなり黒の革パンでハーモニカを吹きながら登場したブライアン・フェリーに、ここでも圧倒された。
この来日時のスタジオライブが、同じくNHK YOUNG MUSIC SHOWで放映されたが、前述のストックホルムライブとこれは放送のコンプリート版なので、お時間のある時に、是非見てみて頂きたい。70年代の最もアクの強かった時代のブライアン・フェリーが満喫出来ると思う。

ロクシー・ミュージックで特筆すべきスタイルの一つが、アルバム「サイレン」にコスチューム=アンソニー・プライスと、ヘア=スマイルをクレジットした事だ。今では当たり前のスタイリングスタッフのクレジットだが当時は皆無で、音楽とファッションの関係性に強く拘ったブライアン・フェリーならではの快挙だった。
当時アンソニー・プライスのショップと、スマイルのヘアサロンは、ロンドンのキングスロードの外れ、今はビビアン・ウエストウッドのショップがある並びにあった。
アンソニー・プライスはオーダーのみのビスポークスタイルで、既製服は売らないという話を聞いていた。残念ながら僕がロンドンに初めて行った際には、もうショップは無かったが、スマイルは営業していた。その時聞いた話だと、もうブライアン・フェリーは来ていないけど、クラッシュのミック・ジョーンズと、ポール・シムノンの二人は常連だという事だった。
近隣にはクラッシュ御用達のジョンソンズに、ロボット、さらにマルコム・マクラーレンとビビアンのワールズ・エンドがあった。ロクシーが全開だった70年代中期から、パンク/ニューウェーブの80年代に音楽もファッションもシフトチェンジしていた時代の話である。