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stile latino (スティレラティーノ) スミズーラ#2 ブラウンシャークスキンダブルブレステッドスーツ 

黄色ラベル

今年は大雪で例年通りには行きませんが、毎年節分を過ぎ、日が少しずつ長く、力強く感じられてくると、一年で一番寒い時期というものの、重いコートの気分ではなくなってきます。新しいシーズンに想いを馳せることも多くなるのではないでしょうか?

ショップでのシーズンの立ち上がりもどんどん早まっている中、2月には季節を飛び越して盛夏のスーツが店頭に並びます。(私も早々にラティーノのレディメイドで、盛夏にふさわしいごくウエイトの軽い、きれいなブルーのピンヘッドのダブルブレステッドスーツを調達しました。)一方フルオーダーで気合を入れてスーツを仕立てる時は、どうしても英国的なウエイトのある仕立て栄えのする生地を選びたくなります。ここの季節のハザマを埋めるスーツを買い増そうというのが今回のス・ミズーラの二つ目のテーマとしました。

というわけで、3シーズン向けのウエイトのあるトニックかシャークスキンのグレーをというのが当初のイメージでした。ヴィンチェンツォの用意して生地の中ではカシミア混のシャークスキンが気に入りました。ネイビー、ミディアムグレー、ダークブラウンのバリエーションでした。それに加えBEAMSの持っていたグレーのバーズアイも含め生地選びに付き合ってくれたプリモと話しをしました。

プリモはバーズアイについては、「とてもいいけれど、昼間の服だ。シャークスキンのほうが昼間から夜の食事までエレガントだ」とシャークスキンを押しました。それではグレーのシャークスキンと決めかけたのですが、その日もブラウンのストライプを着ていたプリモは、「ブラウンは淡いピンクとかの組み合せもいい。秋だけの色ではない」というアドバイスをくれました。確かにブラウン系のスーツを来たプリモの姿を写真で見てきたように思います。

自分の中では、あまりピンクの組合せはしないだろうと思いつつ、ダークブラウンのダブルブレストに白シャツ、あえてシルクニットの黒タイでエレガントに、ベージュのシルクニットタイと素足にスリッポンで、と着こなしを考えました。

自分のスタイルを確立しつつも、服についての固定的な観念を捨て、人との関係性において自分の枠を少し広げるというのが、こうした顔の見える服作りの面白さだと思います。また、単に服を考えるのでなく生活の仕方を考えることがスタイルだと感じました。イタリア人の言うことがすべてだとは思いませんが、スタイルへの情熱を共感できたことを大変うれしく思いました。

ラティーノシャークスーツ

メジャーリングはヴィンチェンツォが担当。ジャケット同様、サンプルゲージから身幅をつまみ、着丈を1cmつめ攻めます。パンツは秋冬からのパターンを元にしました。これまでのパターンよりワタリがすっきりして、すそ周りもふくらはぎの干渉がなくクリースがきれいに見えるパターンだと思います。すそ幅は靴のサイズを聞かれ、レディメイドよりさらにつまんでいました。(上がりで確認すると17.5cm)

あがったスーツは、詰めた着丈と、パンツのワタリのからすそへのタイトさがあいまって、『エレガントかつモダン』を体現するものになっていました。ヴィンチェンツォには、お礼の気持ちをこめてクリスマスプレゼントとしてラティーノのように渋い色味の和ろうそくを選んで贈りました。クリスマス明けに「とても特別なアトモスフェアを醸し出したよ」というお礼のメールをもらいました。Grazie mille!

(i-phoneの写真は実際より黄色みが強く写っています。念のため。)

 

 

stile latino(スティレラティーノ) ス・ミズーラ#1 プレイドカシミアジャケット

写真-3

前回BEAMSでのトランクショーのタイミングで投稿したstile latino(スティレ ラティーノ)の記事に多くの方々にアクセスいただきありがとうございました。

12月の初めにその折にオーダーしたジャケットとダブルブレステッドのスーツが仕上がってきましたので、それらについて2回に分けて書きたいと思います。まずはブラウンのプレイドカシミアジャケットから始めましょう。

今回のオーダーはフルオーダーではなく、ラティーノの持っているパターンをファブリックを自分で選び、さらにメジャーリングに基づきよりカスタマイズするいわゆるス・ミズーラでした。

当初私は3シーズン着れるグレーシャークスキンのダブルブレステッドスーツを仕立てるつもりでした。しかしファブリックを見、そして生地選びにつきあってくれたプリモのアドバイスを受けつつイメージを膨らませる中で、全く違う2つ選択にたどり着きました。

まず、ファブリックをみたとき、2013AWシーズンの押しのアルパカ混や渋いグレンプレイドにウインドウペインが入ったラティーノらしいモダンなファブリックに引かれつつ、このヴィンテージっぽいカシミア100%の英国的なプレイドに一発でノックアウトされました。

もう10数年前、もう少し色味が明るい、柄も小振りな、ウエイトの軽いガンクラブチェックのジャケットをラ・ベラ・サルトリア・ナポレターナ製で持っていました。とてもお気に入りで薄いブルーのシャツとネ−ビーのタイというベリー・クラシックな合わせでよく着ていました。今着ると着丈やシャープさが今一つかなという感じです。(直しに出すことも考えましたが、これはこのクラシックなバランスがかっこいいと踏みとどまりました。)

そんなことをこの2シーズンぐらい考えていた中で、このオールタイム・フェイバリットといった感じのファブリックに出会いました。すごくクラシックなファブリックをラティーノ的なサルト感を残しつつコンパクトで同時代感のあるパターンでジャケットに仕立てる。そんな足し算引き算の微妙なバランス感が今回の一つ目のオーダーのテーマとなりました。(それでもブラウンの濃い色味もありプリモに何回もtoo classic でないかと念押ししましたが)

上がってきたジャケットをご覧ください。サイズについてはヴァンチェンツォは私の着ていったレディメイドの42サイズをゲージに身幅をつまみ、着丈を詰めることを提案しました。かなり攻めたサイジングが彼なりの目指すところなのがよくわかりました。

写真

ジャケットは総裏が標準仕様でしたが、ヴァンチェンツォとプリモが二人してカシミヤは背抜きで包まれるように暖かさを感じる仕立がいいんだと身振りを交えて提案。もちろん全面的に従いました。

写真-1

最高に気に入ったのは適正な半身補正をしたように裾がうまく左右に逃げて、とてもすてきに見える点、パッチポケットがバルカポケットと同じようなカーブをつけられているのがビースポーク感を醸し出している点でしょうか。

写真-2

今であればジレで色を拾ってペーズリーのウールタイ、ベージュのコーデュロイパンツとか英国的な合わせが旬なのでしょうが、あえてクラシックにエレガントにチャコールのウールパンツとカシミアタイでも着たいなと思いました。そして黒タートル、オフホワイト5ポケットパンツにオールデンのこげ茶のチャッカといった、英国生地をイタリア的軽さで仕上げ、アメリカものと合わせて着るみたいなノンシャランな着方でガンガン着るのもいいのではないでしょか。さて皆さんはどんなコーディネイトを考えられますか?

私はこれから10年このジャケットと付き合って年を重ねるのだろうと思っています。

(i-phoneでの撮影ではかなり黄色が強くまた赤が浮き出して見えますが、本来は深いブラウンの地色がかなりおじさん臭い生地です。念のため。)