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stile latino trunk show 2014 #1

ヴィンチェンツォ、次男そしてプリモ
左からヴィンチェンツォ、彼の次男そしておなじみのプリモ

今年も昨年に続きヴィンチェンツォ・アットリーニを迎え、stile latino(スティレラティーノ)のトランクショーがBEAMS Fで9月26日と27日に開催されるということで、当人やプリモがメジャーリングや生地選びのアドバイスに立ち会う初日に挨拶かたがた出かけてきました。

予約のお客様が多い様で時間はかなり押していましたが、2階の奥のオーダールームでの彼らの真剣な仕事ぶりを眺めながら、彼らがイタリアから持参したパルミージャーノ・レッジェーノやワインとともにしばしソファーでリラックス。その間に既に届いていたバンチから目星を付けていた生地について、スタッフの皆さんんと仕上がりをイメージしながらお話しするのも服好きにとっては楽しい時間です。スタッフの皆さんも心なしか浮き足立って、ご自身が仕立たてたい生地に心奪われている様子。

昼も食べずに働き詰めのヴィンチェンツォがチーズとグリッシー二をつまみにでてきて、挨拶を交わしました。「あごひげを生やしたんだね」と聞くと「ちょっとの変化が必要なのさ」とヴィンチェンツォ。昨年お会いした時より、若々しい印象。不思議にボタンダウンや細いネクタイ、ローファーとどこかアメリカっぽいニュアンスのご本人の着こなしは昨年と同様でした。

プリモも後から顔を出し、「ちょっと疲れてない?」との問いかけに、「世界中飛び回ってるんだと」との答え。たぶんラティーノ仕立てのきれいなブルーのダブルブレステッドのグリーンのベストを挟み、時計のベルトも同色のブルー・グリーンで合わせたいつもながらにエレガントなスタイルでした。トランクショー直前に加えられたFOX BROSのすばらしいスーツ生地のバンチ(とてもモダンな色柄の仕立て栄えしそうなものばかりでした)を指でつまみながら、これはクラシックでいい、こちらはクラシックだけどよりスポーティにも振れる等々始まってしまい、すでに選択肢を持っていた私も思わずふらふらしそうになりました。

今回の私のテーマも以前のスミズーラ#2でも書いたような盛夏や真冬以外の広い季節をカバーするスーツでした。生地自体の興奮度はちょっと低いけれど、仕立てた後は重宝するそんなスーツです。ただしラティーノ、どう作り手の個性を活かすかが考えどころです。

方向性は2つ。1つは『グレイのダブルブレステッド』、もうひとつはダブルに続いてここのところ気になっている『親父っぽくならないスリーピース』です。それぞれ生地の候補とともにヴィンチェンツォとプリモに作りたいもののイメージを話しました。

さてどんなアドバイスでどんな結末となったかは、仕上がってきたときのお楽しみ。そのときに写真とともにご披露したいと思います。

cotton suits for long hot summer

亜熱帯のような暑さが当たり前になった感のある東京。こんな季節であっても『嗜好品としてのスーツ』を楽しみたくなるのは天邪鬼でしょうか?

夏には夏の「色」や「素材」をスーツに乗せて楽しむことを放棄してしまうのはあまりにももったいないように思います。麻やフレスコもいいですが、今回はコットンスーツ。暑い日差しの下で着たいスーツを紹介したいと思います。

3パッチポケット、4ボタンのカジュアルなスーツ。着丈の程よい短さと、パンツの細さが今日的バランス。
3パッチポケット、4ボタンのカジュアルなスーツ。着丈の程よい短さと、パンツの細さが今日的バランス。

Cantarelliのベージュのダブルブレステッドスーツ。このスーツをまずはじめにご紹介したのは、コンパクトなダブルブレステッドで、しかも副素材を限りなく省いて軽くし立てている点がいまどきの夏のコットンスーツと思えるからです。着てみるとだらしなくならず良い塩梅で構築的です。軽さを考えるとカラミの白シャツやシャンブレーのシャツに、素足でスリッポンといった着方もいいですが、タイドアップしてダブルモンク(これまた素足で)とかに履き替えるのもいいのではないでしょうか。

副素材を限りなく省いた仕様.着ると程よい構築感が出るのはテーラリングの力。
副素材を限りなく省いた仕様.着ると程よい構築感が出るのはテーラリングの力。

 

次はL.B.M.1911(ルビアムのカジュアルライン)のソラーロ。ソラーロはいわゆる玉虫。縦糸と横糸の色が違うことで、陽のあたり方で見え方の変わる夏の日差しの中で映える生地です。(まさにサンクロス。)

実際は赤みのあるカーキに近い色合い。
実際は赤みのあるカーキに近い色合い。

ビースポークのきちんと仕立てたクラシックなソラーロのかっこよさといったらないですが、これは洗いがかかった、あたり感のあるカジュアルなスーツ。こうした加工もちょっと過ぎたなという感はありますが、これはソラーロのてかり感がうまく落ち着いていい感じに仕上がっています。カジュアル感が強いからあえてタイドアップ。白のオックスBDのボタンはずしにきちんと幅のあるニットタイを合わせます。

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ソラーロ続きでSTILE LATINOのウール混のコットンスーツ。絶妙なブルーの明るさが、まさに夏に着たいスーツ。ウール混のニュアンスやパッチでなく玉縁のポケットの仕上げがエレガントで大人っぽさを醸し出します。ストライブやギンガムもいいけれど、白シャツにネイビーのニットタイでストイックに夏の午後に着たい感じです。ペルソールとともにでしょうか?

明るいブルーが夏らしいソラーロ。
明るいブルーが夏らしいソラーロ。

 

ソラーロのもうひとつの色みが良くわかる。
ソラーロのもうひとつの色みが良くわかる。

そしてSTILE LATINOのこれまたウール混のベージュのコットンスーツ。コットンスーツの魅力はしわにありますが、これはウール紺にすることでしわは出にくくエレガントな感じ。夏に着るべき一番は合わせも幅広く楽しめるこのベージュのコットンスーツだと思います。カラミの白シャツにブラウンのニットタイ、ブラウンスエードのタッセルスリッポンとかが鉄板ですが、今シーズンはこんなチェックのシャツにニットタイといったちょっとフレンチっぽいあわせが気になります。靴はバガンディのALDENのタッセルスリッポンとかが気分でしょうか。

2つボタンのエレガントなコットンウールスーツ。
2つボタンのエレガントなコットンウールスーツ。

 

フレンチアイビーぽいちょっと懐かしいコーディネート
フレンチアイビーぽいちょっと懐かしいコーディネート

 

ご紹介したスーツは今シーズンに調達した物はひとつもなくもう4~5年着ているものですが、今年も今年的な気持ちを盛り込みつつ盛夏の東京で着たいスーツだと思います。

おまけはこのシーズンに調達したSTILE LATINO。トーンの明るいブルーのピンヘッド。あわせも明るくブルーのストライプに、きれいなブルーのプリントタイでしょうか?

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