「Music」カテゴリーアーカイブ

Carlton&the Shoes

Love Me Forever
Carlton&the ShoesのCS Doddのスタジオ・ワンからのアルバム“Love Me Forever”はとても美しいハーモニーに満ちた私の大好きなロックステディ/アーリーレゲエの一枚です。

ジャマイカの音楽は、そのrebel musicサイドであったりタフさであったりの極とラヴァーズロックにつながるもう一つの極を持っているように思います。この二極は単純な対立極では語れず、この美しいアルバムのタイトル楽曲も、ヴァーション化されBig Youth 初め様々なDJがタフサイドで使っていますし、このアルバム収録曲にもルーツ的な色合いのより内省的な歌詞もみられます。

それでもこのタイトルトラックの印象的なイントロとすばらしく甘いラブソングを歌い上げるハーモニーを聞くとき、いつもそのラバーズサイドの最も素敵な有り様を感じます。

冒頭の画像はグラディ・アンダーソンとのショーケースで来日時にもらったサインの入ったアルバムジャケット。”Ful Respect to Tetsuo From Carlton Manning”と書かれています。NUF RESPECT!

http://youtu.be/rdazVAOUQRE

AOR

ここを訪れるてくださるある程度の年齢の方なら、好き嫌いは別として懐かしい響きであろうAOR。もともとはアメリカでAudio Oriented Rockの略称で使われ、同時期最もトピックだったPunkや、ラウドなハードロックに対して、音質重視のクリアなロックミュージックという意味の記号だったのが、日本においては最初の単語が入れ替わりAdult Oriented Rockとなることで、もう少しだけ大人向けで落ち着いた、アーバンでメロウなクロスオーバーサウンドとして1975~1984年頃、主に軟派なサーファーの間で流行したジャンルです。同時にそれまでアルバムを発表するには、本人がそれなりのルックスやカリスマ性、歌唱力を必要としていた音楽界で、どんなに不細工でも、スタジオミュージシャンのような裏方でも、作曲力やセンスがあれば作品を発表出来る、そんな土壌を培っていた高品質な音楽ジャンルだったとも思っています。これまでにもHipHopのサンプルネタや、サバービアやフリーソウル・ムーヴメントの影響で断片的に注目されてきたAOR。それら再評価のたびに少しずつ当時の負のイメージが払拭され、今では一部の若い音好きに贅沢で完成度の高い音楽として認知されているようです。

そんな折、2013年夏にうれしいアルバムがリリースされました。Ed Mottaの「AOR」です。エヂ・モッタ。1971年ブラジル生まれの今年42歳。1990年ソロデビュー。70年代ソウルを基本にジャズからロックまで、アルバムごとにその音楽性がめまぐるしく変化するキャリア充分なグルーヴ系シンガー。10年前インコグニートと一緒に来日したのでご存知の方も多いかと思います。

motta_ed~~~_aorenglis_101b

もちろん、迷わずアナログレコードを買いました。最近アメリカで話題の「180g Vinyl Record」音質よしです。ジャケットは2013年とは思えない、30 x 30cmのアナログサイズで映えるデザイン。もろウエストコースト・サウンドを彷彿とさせる写真は、真っ白なジャケットの中に着たプリントシャツと、アルバムジャケットの枠の色を合わせるというお洒落ぶり。何より主人公エヂの容姿がスゴい。

過去にも幾つかAORを意識した楽曲を発表してる彼ですが、今回はアルバムタイトルが「AOR」。パロディとかオマージュとかで付けたのではない、正真正銘のAORサウンドを聴かせてくれます。B面2曲目「1978」は曲名通り1978年当時のSteely Danのようなアレンジとヴォーカル。A面4曲目「Dondi」では巨匠David T Walkerが、まるでMarlena Shawのバックで弾いているような、控えめだけど至高のギターソロを披露してくれています。

そんなEd MottaとDavid T Walkerが10月にBlue Noteに来日します。エヂはその歌声も魅力的なので生で2人を聴けるのが今からとても楽しみです。