新年あけましておめでとうございます。本年もスタイル、映画、音楽、食等私たち独自の視点をアップしていきますのでよろしくお願いいたします。
さて9月にBEAMS Fで行われたスティレ・ラティーノの受注会の折にオーダーしたスーツが昨年末クリスマスのプレゼントのような絶妙なタイミングで上がってきました。
前回前振りのようになりました二つの方向性『グレイ・ダブルブレステッド』or『親父っぽくならないスリーピース・スーツ』。ご覧のように今回は濃いグレイのバーズアイでヴィンチェントらしいシャープなスリーピースをという方向で決着しました。
前回受注会で作らなかったグレイのシャークスキンで今度こそダブルブレステッドをという気持ちが強かったのですが、今回の決着はヴィンチェンツォとプリモのアドバイスというよりは、ずっと頭の片隅にあったスリーピースのアイデアがこの英国製のバーズアイの生地と当日のBEAMS FスタッフのSさんの着こなしとに結びついて一気にイメージとして結実したものと言えそうです。。Sさんは前回ラティーノでオーダーされたという、ハウンドツゥースのスリーピースをソリッドにストイックにお召しでした。
仕様は いつもの様にミニマルな3ボタンのジャケットに、ノープリーツのパンツ。サイドのポケットはヴィンチェンツォの提案でスラントに、ヒップのポケットは私からの依頼で右側のみとしました。ベスト(ジレ)はシングルです。
スーツが嗜好品化に向かう中、よりクラシックなスーツらしいスーツといえるダブルブレステッドやスリーピースに関心が向いているように思います。それらのクラシック性をより強調してサルトでフルオーダーするのも魅力的ですが、ヴィンチェント的なコンテンポラリーさを盛り込んで『親父っぽくなく』仕上げるさじ加減もまた面白いように思います。
裏地はヴィンチェンツォとプリモがすぐさま「ボルドーで決まりだ。」もちろん全面的に賛同です。
ジレは最近よりクラシックさを強調したダブルのものも多くみかけますが、私が今回作りたいのはよりストイックなもの。ですからこれ見よがしでなくもちろんシングルで作りました。背はラティ—ノ仕様、共布でアジャスターもボタンです。
もちろんジレの格好の良さのポイントとなるタイのボリュームの見え方が最適なVゾーンの高さとウエストラインの丈も絶妙です。
コーディネートもあくまでストイックに、色味も抑えて。
シンプルな黒靴(丈の短いサイドゴアもいいですね)、気持ち的に回帰している文字盤も小さめのシンプルな時計、そして私たちセルクルルージュのメンバー御用達の映画人黒めがね。
カットやスタイル云々は別として、自分の中ではきわめてストイックな精神性という意味でボンドスーツといった意味合いのスーツです。
こんなスーツで幕を開ける2015年。皆様方にとってよい年となることを心からお祈りいたします。