今年も昨年に続きヴィンチェンツォ・アットリーニを迎え、stile latino(スティレラティーノ)のトランクショーがBEAMS Fで9月26日と27日に開催されるということで、当人やプリモがメジャーリングや生地選びのアドバイスに立ち会う初日に挨拶かたがた出かけてきました。
予約のお客様が多い様で時間はかなり押していましたが、2階の奥のオーダールームでの彼らの真剣な仕事ぶりを眺めながら、彼らがイタリアから持参したパルミージャーノ・レッジェーノやワインとともにしばしソファーでリラックス。その間に既に届いていたバンチから目星を付けていた生地について、スタッフの皆さんんと仕上がりをイメージしながらお話しするのも服好きにとっては楽しい時間です。スタッフの皆さんも心なしか浮き足立って、ご自身が仕立たてたい生地に心奪われている様子。
昼も食べずに働き詰めのヴィンチェンツォがチーズとグリッシー二をつまみにでてきて、挨拶を交わしました。「あごひげを生やしたんだね」と聞くと「ちょっとの変化が必要なのさ」とヴィンチェンツォ。昨年お会いした時より、若々しい印象。不思議にボタンダウンや細いネクタイ、ローファーとどこかアメリカっぽいニュアンスのご本人の着こなしは昨年と同様でした。
プリモも後から顔を出し、「ちょっと疲れてない?」との問いかけに、「世界中飛び回ってるんだと」との答え。たぶんラティーノ仕立てのきれいなブルーのダブルブレステッドのグリーンのベストを挟み、時計のベルトも同色のブルー・グリーンで合わせたいつもながらにエレガントなスタイルでした。トランクショー直前に加えられたFOX BROSのすばらしいスーツ生地のバンチ(とてもモダンな色柄の仕立て栄えしそうなものばかりでした)を指でつまみながら、これはクラシックでいい、こちらはクラシックだけどよりスポーティにも振れる等々始まってしまい、すでに選択肢を持っていた私も思わずふらふらしそうになりました。
今回の私のテーマも以前のスミズーラ#2でも書いたような盛夏や真冬以外の広い季節をカバーするスーツでした。生地自体の興奮度はちょっと低いけれど、仕立てた後は重宝するそんなスーツです。ただしラティーノ、どう作り手の個性を活かすかが考えどころです。
方向性は2つ。1つは『グレイのダブルブレステッド』、もうひとつはダブルに続いてここのところ気になっている『親父っぽくならないスリーピース』です。それぞれ生地の候補とともにヴィンチェンツォとプリモに作りたいもののイメージを話しました。
さてどんなアドバイスでどんな結末となったかは、仕上がってきたときのお楽しみ。そのときに写真とともにご披露したいと思います。