stile latino(スティレ ラティーノ)はイタリアはナポリにおいてヴィンチェンツォ・アットリーニが2004年に立ち上げたスーツ、ジャケット、コート等のブランドです。アットリーニ家は1930年代から続くサルト(テーラー)であり、現在もそのクラシックなメインストリームはattoliniというブランドで展開されています。私はヴィンチェンツォが関わってきたSartorio(サルトリオ)、Eligo(エリゴ)といったブランドの頃から、彼の作る服にとても引かれてきました。今回BEAMSで彼のトランクショーが開催され、本人とお会いできたこと、そしてstile latinoのウエッブが立ち上がったこと、この2つの機会を捉えここでstile latinoをとりあげてみたいと思います。まずはその世界観を、新しく立ち上がったサイトでご覧ください。
ヴァンチェンツォのつくる服の魅力は、クラシックなテーラードから発しつつ、そこに安住していない、同時代感を感じさせるパターンやコンパクトなサイジング、そして何より他ではなかなか見ない生地により醸し出されています。ブランドのネーミングの「ラテンのスタイル」からは派手で明るいイメージを連想される方もいらっしゃるかと思いますが、予想を裏切る一見地味ながらラテン的渋さを感じさせるオリジナリティあふれる色味と素材感が特徴的です。
世の中のカジュアル化、気候の変化、ファストクローズ化の中で、こうした重衣料は限りなく『嗜好品』化しています。このサイトを訪れる方の多くも、スーツを着る必要のない方々かも知れません。しかしそうした中であえて嗜好品としてのスーツを、ジャケットを、コートを着たくなる人も増えているように思います。
そしてそうした嗜好品としての選択をするとき、その作り手がなにを見、何を聞き、何を感じて生きているかが重要になるように思います。そこでの作り手との共感性がとても大切になるのです。
お会いしたヴィンチェンツォは、服に対しての提案では大変エネルギッシュでしたが、本人はこちらを許容する懐の深い、渋さを感じさせるすてきな方でした。チャーリー・ワッツが彼の服を着ているとの話をしていたとき、ロックバンドでも活躍中の息子さん(チェザレは自分のCDをくれました)とロンドンのストーンズのコンサートに行った話もしてくれました。ロックを感じる服かい?と聞くと「ラティーノはブルーズだな」といっていたのがなるほどなという感じでした。grazie mille!