「Stile Latino」カテゴリーアーカイブ

cotton suits for long hot summer

亜熱帯のような暑さが当たり前になった感のある東京。こんな季節であっても『嗜好品としてのスーツ』を楽しみたくなるのは天邪鬼でしょうか?

夏には夏の「色」や「素材」をスーツに乗せて楽しむことを放棄してしまうのはあまりにももったいないように思います。麻やフレスコもいいですが、今回はコットンスーツ。暑い日差しの下で着たいスーツを紹介したいと思います。

3パッチポケット、4ボタンのカジュアルなスーツ。着丈の程よい短さと、パンツの細さが今日的バランス。
3パッチポケット、4ボタンのカジュアルなスーツ。着丈の程よい短さと、パンツの細さが今日的バランス。

Cantarelliのベージュのダブルブレステッドスーツ。このスーツをまずはじめにご紹介したのは、コンパクトなダブルブレステッドで、しかも副素材を限りなく省いて軽くし立てている点がいまどきの夏のコットンスーツと思えるからです。着てみるとだらしなくならず良い塩梅で構築的です。軽さを考えるとカラミの白シャツやシャンブレーのシャツに、素足でスリッポンといった着方もいいですが、タイドアップしてダブルモンク(これまた素足で)とかに履き替えるのもいいのではないでしょうか。

副素材を限りなく省いた仕様.着ると程よい構築感が出るのはテーラリングの力。
副素材を限りなく省いた仕様.着ると程よい構築感が出るのはテーラリングの力。

 

次はL.B.M.1911(ルビアムのカジュアルライン)のソラーロ。ソラーロはいわゆる玉虫。縦糸と横糸の色が違うことで、陽のあたり方で見え方の変わる夏の日差しの中で映える生地です。(まさにサンクロス。)

実際は赤みのあるカーキに近い色合い。
実際は赤みのあるカーキに近い色合い。

ビースポークのきちんと仕立てたクラシックなソラーロのかっこよさといったらないですが、これは洗いがかかった、あたり感のあるカジュアルなスーツ。こうした加工もちょっと過ぎたなという感はありますが、これはソラーロのてかり感がうまく落ち着いていい感じに仕上がっています。カジュアル感が強いからあえてタイドアップ。白のオックスBDのボタンはずしにきちんと幅のあるニットタイを合わせます。

__LBM2

 

ソラーロ続きでSTILE LATINOのウール混のコットンスーツ。絶妙なブルーの明るさが、まさに夏に着たいスーツ。ウール混のニュアンスやパッチでなく玉縁のポケットの仕上げがエレガントで大人っぽさを醸し出します。ストライブやギンガムもいいけれど、白シャツにネイビーのニットタイでストイックに夏の午後に着たい感じです。ペルソールとともにでしょうか?

明るいブルーが夏らしいソラーロ。
明るいブルーが夏らしいソラーロ。

 

ソラーロのもうひとつの色みが良くわかる。
ソラーロのもうひとつの色みが良くわかる。

そしてSTILE LATINOのこれまたウール混のベージュのコットンスーツ。コットンスーツの魅力はしわにありますが、これはウール紺にすることでしわは出にくくエレガントな感じ。夏に着るべき一番は合わせも幅広く楽しめるこのベージュのコットンスーツだと思います。カラミの白シャツにブラウンのニットタイ、ブラウンスエードのタッセルスリッポンとかが鉄板ですが、今シーズンはこんなチェックのシャツにニットタイといったちょっとフレンチっぽいあわせが気になります。靴はバガンディのALDENのタッセルスリッポンとかが気分でしょうか。

2つボタンのエレガントなコットンウールスーツ。
2つボタンのエレガントなコットンウールスーツ。

 

フレンチアイビーぽいちょっと懐かしいコーディネート
フレンチアイビーぽいちょっと懐かしいコーディネート

 

ご紹介したスーツは今シーズンに調達した物はひとつもなくもう4~5年着ているものですが、今年も今年的な気持ちを盛り込みつつ盛夏の東京で着たいスーツだと思います。

おまけはこのシーズンに調達したSTILE LATINO。トーンの明るいブルーのピンヘッド。あわせも明るくブルーのストライプに、きれいなブルーのプリントタイでしょうか?

__latino 2014ss

 

 

stile latino (スティレラティーノ) スミズーラ#2 ブラウンシャークスキンダブルブレステッドスーツ 

黄色ラベル

今年は大雪で例年通りには行きませんが、毎年節分を過ぎ、日が少しずつ長く、力強く感じられてくると、一年で一番寒い時期というものの、重いコートの気分ではなくなってきます。新しいシーズンに想いを馳せることも多くなるのではないでしょうか?

ショップでのシーズンの立ち上がりもどんどん早まっている中、2月には季節を飛び越して盛夏のスーツが店頭に並びます。(私も早々にラティーノのレディメイドで、盛夏にふさわしいごくウエイトの軽い、きれいなブルーのピンヘッドのダブルブレステッドスーツを調達しました。)一方フルオーダーで気合を入れてスーツを仕立てる時は、どうしても英国的なウエイトのある仕立て栄えのする生地を選びたくなります。ここの季節のハザマを埋めるスーツを買い増そうというのが今回のス・ミズーラの二つ目のテーマとしました。

というわけで、3シーズン向けのウエイトのあるトニックかシャークスキンのグレーをというのが当初のイメージでした。ヴィンチェンツォの用意して生地の中ではカシミア混のシャークスキンが気に入りました。ネイビー、ミディアムグレー、ダークブラウンのバリエーションでした。それに加えBEAMSの持っていたグレーのバーズアイも含め生地選びに付き合ってくれたプリモと話しをしました。

プリモはバーズアイについては、「とてもいいけれど、昼間の服だ。シャークスキンのほうが昼間から夜の食事までエレガントだ」とシャークスキンを押しました。それではグレーのシャークスキンと決めかけたのですが、その日もブラウンのストライプを着ていたプリモは、「ブラウンは淡いピンクとかの組み合せもいい。秋だけの色ではない」というアドバイスをくれました。確かにブラウン系のスーツを来たプリモの姿を写真で見てきたように思います。

自分の中では、あまりピンクの組合せはしないだろうと思いつつ、ダークブラウンのダブルブレストに白シャツ、あえてシルクニットの黒タイでエレガントに、ベージュのシルクニットタイと素足にスリッポンで、と着こなしを考えました。

自分のスタイルを確立しつつも、服についての固定的な観念を捨て、人との関係性において自分の枠を少し広げるというのが、こうした顔の見える服作りの面白さだと思います。また、単に服を考えるのでなく生活の仕方を考えることがスタイルだと感じました。イタリア人の言うことがすべてだとは思いませんが、スタイルへの情熱を共感できたことを大変うれしく思いました。

ラティーノシャークスーツ

メジャーリングはヴィンチェンツォが担当。ジャケット同様、サンプルゲージから身幅をつまみ、着丈を1cmつめ攻めます。パンツは秋冬からのパターンを元にしました。これまでのパターンよりワタリがすっきりして、すそ周りもふくらはぎの干渉がなくクリースがきれいに見えるパターンだと思います。すそ幅は靴のサイズを聞かれ、レディメイドよりさらにつまんでいました。(上がりで確認すると17.5cm)

あがったスーツは、詰めた着丈と、パンツのワタリのからすそへのタイトさがあいまって、『エレガントかつモダン』を体現するものになっていました。ヴィンチェンツォには、お礼の気持ちをこめてクリスマスプレゼントとしてラティーノのように渋い色味の和ろうそくを選んで贈りました。クリスマス明けに「とても特別なアトモスフェアを醸し出したよ」というお礼のメールをもらいました。Grazie mille!

(i-phoneの写真は実際より黄色みが強く写っています。念のため。)